「武蔵野美術大学デザイン・ラウンジ」というものをご存知でしょうか。
それは東京ミッドタウンに、武蔵野美術大学が運営しているラウンジで、ここで実は様々な勉強会、講演会、その他活動などが行われています。
この活動や講演会には武蔵野美術大学の学生や院生でなくても参加することは可能です。
むしろ、私自身も何度か参加したことがあるのですが、親子連れや友人同士、あるいはアート好きな男女など様々な方が参加されてワークショップや講演会などを楽しんでおられた印象がありました。
ちなみにこの記事は、ムサビ通信、あるいはムサビ大学院(クリエイティブリーダーシップコース)を考え、実際に進学されようとしている方以外の方にも幅広く読んでいただけるよう書く心づもりです。
ひとつ注意点としては、東京ミッドタウンで活動しているこのデザインラウンジですが、2020年12月に市ヶ谷キャンパスへ移転する旨の告示がでています。
このラウンジの掲げるミッション、あるいは目標のようなものが「社会と大学がつながる場」ですので、ムサビ大学院で紹介させていただいたように、地域との連携ができるデザインラボ3種のうちに統合されていくという動きですね。
目次
1. ムサビデザインラウンジのワークショップや講義の一例
ここではムサビデザインラウンジの講義内容を紹介していきます。
1.1 2018.01 サービスデザインのみらいを考える
2018年1月には「サービスデザインのみらいを考える」という講演会とディスカッションの場が設けられています。
日産自動車株式会社、コンセント、Pivotal Labs Tokyo、アクセンチュアなどの登壇者が登場し、ムサビの視デ―視覚伝達デザイン出身のデザイナーの方が司会となりサービスデザインの未来についてディスカッションする講座です。
サービスデザインといってもIoTやAIを活用していくのか。共創型なのか。政府や公共などのものなのかで、求められるものが異なってくるというようなお話です。
IoTやAIですと、Line Beaconなどを活用して現実の世界の位置情報を利用したサービスが始まってからはや数年以上は経過しました。今では、タニタの体組成計、あるいはコカ・コーラのCoke Onに代表するようなIoTを活用したサービスも増えています。
政府や公共についても、近年ですとマイナポイントのマイナポータルがやれUXが悪いだの、はんこ文化がよくないなどありましたがそれでも着実に新しい時代のサービスデザインに少しづつなっていきます。
何故なら、政府や公共団体が発注するIT企業、コンサル企業側がUXなどを重要視してきているからです。
美大出身のファインアート系の方就職先として、コンサル企業が上位に来るケースはなさそうに思われますが。
IT企業・コンサル企業共にデザインスタジオ、あるいはデザイナー採用を積極的に推進する動きが出始めているように思えます。
そんな動きの中で、デザイナーをUXデザイナーとして好待遇で迎え入れるようになれば、もしかしたらデザイナーの就職上位にIT企業やコンサル企業が登場する可能性は否めない時代なのかもしれません。
IoTという分野の登場によって、身近な「モノ」にデータを収集させるというアイディアが普遍化しました。これを自販機に組み込んだのがIoT、ラジオだけではないですが組み込んだのがアレクサなどのスマートスピーカー。
テスラなどのように車自体をソフトウェアアップデートで改良していくというようなモデルも出来上がっていますし、ますますIT関連の分野のすそ野が広がり、他の伝統産業領域とも交わり、溶け合っていく時代に差し掛かっています。
一番身近なのは、ヘルスケアアプリでしょうか。身体データというのは、商品を買ってもらううえで、様々な用途がみつかります。だからこそ、例えば下記に纏めたようなヘルスケア企業のコラボレーション先は数多く見つかるという寸法です。
1.2 2018.02 【workshop】ウレアを使って、Geometric Crystalをつくろう
理科の実験風ながら、意外と簡単に幾何学的な模様のクリスタルが出来上がるので、非常に面白いです。
コンテンポラリーデザインスタジオ we+というところが主管している講座なのですが、三井化学株式会社が化学とアートをコラボレーションさせて、テクノロジーや化学反応、特殊な素材なんかを活用したインスタレーションやグラフィックなどに力を注いでいる集団のようです。
この講座のようにひたすら手を動かす系の中でも、主管しているアート団体だったり、個人だったりを調べたり、知ろうとしてみるとアートやデザインの世界のダイナミックな動きを知ることができるので、アートの知識的な面に興味がある方も是非、こういったワークショップに参加してみると世界が広がるかもしれません。
【workshop】ウレアを使って、Geometric Crystalをつくろう | D-LOUNGE
1.3 2019.10 武蔵野美術大学公開講座2019 第4回「人類の身体と道具と社会のデザイン」を学ぶ!
小学校、あるいは中学校の社会のはじめの方の授業で学んだかもしれない「グレートジャーニー」。
これは、アフリカ起源の人類がその後、世界中に散っていった道のりのことを指します。
そして、もっとも遠い先にたどり着いた時、人類は5万キロの道のりを踏破していたそうです。
そして、この講義で登場するのがその類似の道のりを10年の歳月をかけ旅した探検家の関野吉晴さんです。
とはいえ、実は関野さんは2012年から2019年まで、ムサビの教授を為されていた方なので、意外ではないといえば意外でないかもしれません。
武蔵野美術大学デザインラウンジは、たまにおもしろいゲストの方を呼ばれていますが、このケースだと結構正統派でしょうか。
探検家の関野さんとデザインやアートって何の関係があるんだろうという疑問を抱いた方もおられるかもしれません。
地球規模のフィールドワークで様々な土地、文化、習俗を味わってきたからこその社会をデザインするための視点について、かなり独特な観点から語ることができるというのが関野さんの持ち味です。
デザインラウンジ公式ページ
【lecture】武蔵野美術大学公開講座2019 第4回「人類の身体と道具と社会のデザイン」を学ぶ! | D-LOUNGE
1.4 2020.08 YouTube 武蔵野美術大学×地域活性化センター 協定式&記念イベント【地域の未来と美術の力】
サービスデザインの未来のイベントと関連があるといえばありますが、ムサビに限らず美大、藝大の一部のアート作品や作品の指向性と、地域活性化が相性がよいケースがあります。
立川市地域文化課と武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科がコラボレーションして作り上げた、立川駅の西地下道壁面アートなどが近年の身近な事例かもしれません。
これはムサビの学生の方と、立川市立第一小学校の小学生、立川市青春学級の生徒さんたちが地下道一杯にさまざまな絵、フィンガーペインティングなり、絵筆を使うなりで作り上げていった作品です。
地域の未来と美術の力PJについては、ワークショップや作業中の動画などがムサビの公式サイトにて公開されています。
武蔵野美術大学公式ページ
3. まとめ
ムサビデザインラウンジは、実はゆるくムサビと関わっていきたい、あるいはゆるくアートやデザインについての最新のトレンドの情報を収集していきたいというケースの場合に、非常にいい選択肢だと思っています。
アートやUXデザインのキャリアを形成したい場合はムサビ大学院
趣味を本格的に進めていきたい場合は、ムサビ通信。
デザインやアートとの関わりをゆるく続けていきたい場合は、ムサビデザインラウンジ。
そのようなパターンを考慮しておくと分かりやすいかもしれません。
それでは、またどこかで。