牧場物語や、動物の森についておすすめするブログシリーズ記事です。
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本記事の目次です。
❶はじめに
❷方程式と群像劇
❸おわりに
江戸前エルフ:個人的には2020年代Top3に入る名作。
この記事を読んでいるあなたは牧場物語、それからどうぶつの森をご存じでしょうか。「牧場物語シリーズ」は1作目がゲームボーイ版として1996年8月6日に発売されおり、開発元は現マーベラスです。
「どうぶつの森シリーズ」1作目が2001年4月14日に発売されており、開発元は任天堂になります。
牧場物語とどうぶつの森シリーズの共通点・相違点はそれぞれ多くあります。
共通点としての最たるものは、いわゆる「箱庭」ゲームである点。どちらも限られたフィールドの中を自由に動き回り、「村」の住人たちコミュニケーションをとり、アイテムを集めたり、作物を育てたり、村のイベント(運動系のイベントや魚釣りなど)に参加することも可能です。
一方で相違点としては、牧場物語が徹頭徹尾、人間が中心となる物語であるのに対して、どうぶつの森はどうぶつキャラクタを交えたある種の群像劇的な意味合いがあるという点ではないかと考えています。
※牧場物語と最たる点は、名前を持つキャラクタのグッズが多かれ少なかれ、発売されているという点にも見られます
要するに一人プレイに主眼が置かれていた「牧場物語」とは異なり、「どうぶつの森」はある程度初期段階から複数のプレイヤーがコミュニケーションとして交わるという部分を大切にしているように感じられます。
「あつまれ どうぶつの森」は国内版で2022年までに累計1000万本以上、世界も含めたら3000万本を超えるまでのセールスを誇っています。
同じくswitch版の牧場物語シリーズ作品「牧場物語 再会のミネラルタウン」は世界類型100万本以上のセールスであるので、大きく「あつまれどうぶつの森」に水をあけられていることとなっています。
それぞれの詳細に関して、紹介させていただきます。
この記事を書こうと思った切っ掛けは牧場物語シリーズと、どうぶつの森シリーズのファン層が大きく異なっているのではないかと感じたからです。
N数は10程度ですが、ざっくりと牧場物語やどうぶつの森をやっている知人友人のゲーム歴を確認してみると、実学系の人は牧場物語、アート系・芸術系を含めた美術史や文学史研究や、美大系の人はどうぶつの森をやっている傾向がみられました。
もちろん、身近な人間に聞いただけのサンプル数も少ない調査にもならないことではありますが、どこかそれに納得していることも確かです。
というのも、例えば牧場物語に関しては攻殻機動隊でいうところのある種の模倣犯--笑い男的な存在を量産しうるのだと考えています。つまりフォーマット、方程式に則ればだれがやろうともそれは牧場物語ライクなゲームとして成立する為、大丈夫なのであるという理屈です。
牧場物語は近年、恋愛要素やファッショナブルな要素を組み込んで多彩なユーザーを引き込もうとしていますが、根本的には作業ゲーとよばれるものです。
畑を耕し、種を撒いて水をやり、そして収穫して地道にお金を増やした先に、ニワトリや羊や牛を購入して育てていく。そうやって段々と規模を増やしていったり、効率化していくカイゼン活動のループに、アドレナリンがほとばしるファン層を引き付けるようになっています。
一方でどうぶつの森は、もちろん作業的な要素はありますが、シリーズ開始当初から終始一貫して、「交流」というものが重視されているように感じています。
しずえさんやタヌキチといった、シリーズを通してずっと出続けるようなキャラクタ、そうそれこそ代替可能な存在ではなく個として、バックグラウンドストレ―リーや強固なキャラクタを持った存在は牧場物語にはいません。
牧場物語の中で、女神様やコロボックル、あとは一部シリーズに限るのであればグルメマンなどは作品またぎで登場することはありますが、役割が同じでも同一の性格などをもった個体ではありませんでした。
牧場物語はある種作業ゲーにアドレナリンが出る方、地道にコツコツとやりとげていく方をファン層として取り込むことで基礎を築きましたが、シリーズも年月を重ねてきたことで新たなファン層の開拓に乗り出しているようにも見受けられます。
また、マーベラスが牧場物語の新シリーズ展開で、大きくほかのファン層を獲得していこうと考えていた時期が二つ存在していると考えています。
第一期は、イノセントライフやルーンファクトリーシリーズを展開し始めた時期。牧場物語にどういう要素を足し算すれば、ファン層を広げられるのかを検証していた時期かと思います。この件については別の記事で詳しく書いておりますので、そちらもご参照ください。
付け加えておくと、ルーンファクトリーシリーズは牧場物語にRPG要素を足しこんだものです。
実はどうぶつの森のコンセプトではRPGとして成立させる予定であったそうです。ただし、ゲームハード的な問題により箱庭要素を抽出し、交流要素にフィーチャーした作品として再構成したものが初代どうぶつの森です。
そう考えると、ある種牧場物語はもともとのどうぶつの森のコンセプト作品を送り出す事になったわけです。2022年現在、ルーンファクトリーシリーズは5まで作品の代を重ねておりますので、十分以上に成功といえると思います。
ルーンファクトリーシリーズは現在は独立して、牧場物語シリーズとは別の扱いを受けていますが、その源流、フォーマット自体は牧場物語をベースとしたものであることは確かです。
一方で、元々はRPGとして作られていたかもしれないどうぶつの森は、コミュニケーションや交流という要素を強く推しだす構成になっており、RPG要素などは感じられないものとなっています。
switchの最新作では他ユーザーの箱庭に遊びに行くことなどができるようになっている点が少しRPGで様々な街にでかけていく点と類似しているようにも思えますが、やはり交流機能の延長であって、RPG的な要素として解釈できるものではないと感じています。
牧場物語の第二期として、近年展開している作品群は牧場物語のフォーマット自体に他有名IPを呼び込む展開です。ポポロクロイス物語ですとか、ドラえもんですとかそういった有名IPたちを呼び込んで牧場ライフを送ってもらう。そういうシリーズ展開の仕方を近年マーベラスエンターテイメント社は行っています。
これは、牧場物語的なものを成り立たせる方程式がある種の柔軟性を持っているという証左になっているかなと思います。
逆説的に、どうぶつの森シリーズにドラえもんやのび太君、ピエトロ王子なんかを登場させることは非常に難しいのではないかということです。箱庭は、前提として動物たちとある種の意視点人物である主人公の織りなす世界であって、そこに他の世界観や世界線の存在が紛れ込むことは難しいということですね。
逆に、どうぶつの森シリーズではタヌキチなどの一キャラクターがある種のIPになっているなど、キャラクタ性の深堀による魅力訴求という点では、フォーマットに則っていれば代替可能な牧場物語の主人公たちや登場人物たちに比べれば、多くの拡張性があるともいえます。
牧場物語のフォーマット力、方程式という面で忘れてはならない要素が、海外インディーズゲームへの影響という側面です。
「Stardew Valley[スターデューヴァリー]」という作品をこの記事を読まれている方はご存じでしょうか。海外製作者によって作成され、その製作者自身が「牧場物語をリスペクトして作成した」と公言している作品です。
ある種の古き良き牧場物語シリーズを彷彿とさせるゲーム作品ではありますが、登場人物たちは牧場物語シリーズの人物たちとはだいぶ違う造形です。とはいえそれでも牧場物語シリーズのことを思い起こさせるという点が、フォーマット力の強さを示しているように感じてなりません。
いかがだったでしょうか。
牧場物語(ぼくもの)と、どうぶつの森(どう森)のファン層が被らないことについての一考察というテーマで書きだそうとしてみたら、それぞれのよいところや異なる点を記載する記事になってしまいました。
牧場物語にせよ、どうぶつの森にせよ素晴らしいゲーム作品です。よく遊び、よく楽しみ、充実したライフを。
私自身が自分の読みたい作品を、というコンセプトの下で「虹色宝石譚」というノベルゲーム作品(外部リンク)を仲間内で制作しています。
興味があれば、是非お求めくださいませ。
それではまたどこかで。
ぜひ、この記事を読んで気になったらご一読を。
瀬戸内国際芸術祭2022公式ガイドブック:瀬戸内国際芸術祭のガイドブックはもしあなたが訪れないにしても、いろいろと読み応えのあるコンテンツです。ですので、気になったら読んでみて下さい。
それではまたどこかで。