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コンサルティングファームで求められる「書く力」

総合コンサルティングファームのマネージャーが語るコンサルタントに必要な書く力

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皆様はコンサルタントとして必要な力は何だと思いますか。業界知識でしょうか、最先端のトレンドでしょうか。


それらももちろん大事ではありますが、もう少し基礎的な力がコンサルタントとしての力の源泉になります。

 

そしてそれはすべての役職で基本的には共通です。早速本編に参りましょう。

 コンサルティングファームでの人材に求められている能力についてお話します。

 

総合コンサルティングファーム(Big4 + アクセンチュア[ACN])の場合、基本的にクラスタイトルは下記のようになっています。

 

【クラスタイトル】
アナリスト(ANA)➡コンサルタント(CONS)➡マネージャー(MGR)➡シニアマネージャー(SMGR)

 

アナリストやコンサルタントの中に、シニアがついたアナリストやコンサルタントがいる場合もありますが、クラスタイトルとしては四つです。マネジングダイレクター(MD)になると、だいぶ戦うステージや能力が変わってくるようなのですが、まだ未経験の分野ですので割愛いたします。

 

ちなみにおおよそアナリストからコンサルタントなどクラスタイトルがupすると1.5倍のお給料upにつながることが多いようです。

 

それぞれのファームによって、エキスパートやプリンシパルといった専門性を磨くキャリアコースがあるところもありますが、通常ルートのコンサルタントにおいては、いろいろと表現のされ方はありますが、下記の五つの力が大切だとこの記事では推奨しておきます。

 

すなわち、書く力・描く力・導く力・話す力・調べる力です。

力の部分は技術という言葉に置き換えることも可能です。すなわち、書く技術・描く技術・導く技術・話す技術・調べる技術です。

 

例えば書く技術は、ロジカルライティングという言葉で聞いたことがある方も多いかもしれません。

 

これらがコンサルタントの基礎戦闘力を構成する要素となります。もちろんこの土台に論理的思考力があります。

 

今回お話しする書く力は、コンサルタントとしての基礎の基礎ともいえるかもしれませんが、アナリストであろうとコンサルタントであろうとあるいはマネージャー以上であろうと常に向上し続ける必要がある力です。

 

 

実際のプロジェクトの種類や大枠でのファームの特徴なんかを整理した記事も併せてお読みくださいまし。

www.shikinagi.work

 

000 目次

コンサルタントとして必要な力はおおよそ5つ。本記事では、書く力にフォーカスします。

 

①書く力・・スライドライティング(いわゆる紙書き力) 【本記事】

②描く力・・構想をまとめ上げる力や、解くべき課題の切り口をみつける力  

③導く力・・部下、クライアント問わず関係者を自然な形で、あるいは時にあえて強引な形で誘導する力 

④話す力・・相手によって、緩急をつけた話し方と、適切な粒度での話ができる力

⑤調べる力・・デスクトップリサーチの勘所、ヒアリングの進め方
 

このあたりの書籍はおすすめですので、もしよかったら瀬戸内海のオリーブや、和歌山の梅干を買うためにぽちりとお願い致します

 
001 書く力についての補遺編

紙書き力は、さらに3つの要素に分解できるでしょう。論理性・正確性・時限性。

 

①-A.論理性

論理性は前後のスライドのつながりに矛盾がきたしていない事一つの紙の中で一つのメッセージが込められている事(複数のメッセージが込められている場合には紙を分ける)、一つのスライドの中でタイトル・メッセージライン・ボディ部分が三位一体になっていること、示唆が書き込まれている事などです。


それぞれの要素が重要なのですが、要素の中でも強いて重要な要素を言うのであれば、示唆となります。

 

具体例をあげます。童話の「三匹の子豚」「桃太郎」なり、歴史の毛利家のエピソードである「三本の矢」、あるいは秀吉の「墨俣一夜城」なりってどういう話なんだっけという質問があったときに、あなたはどのように答えるでしょうか。

 

ストーリーから話すのでしょうか。あるいは登場人物から話すのでしょうか。いろいろな方がいますし、前者の話し方をする人もおられると思いますが、コンサルティングワークにおける回答としては、示唆だしから始めるのがベターです

 

コンサルタントとしてとびぬけて優秀な人はもう少し別の角度、自分なりの文脈と絡めて話をしますが、普通のコンサルタントがまねできるものでもないので。

 

示唆だしが大事という話を続けます。「三匹の子豚」の示唆は、例えば時間をかけた方がよりよいものが作れるといういわゆる巧緻は拙速に勝るですとか、いざという時の為に備えは怠るべからず等いくつか出せると思います。

 

この示唆を演繹法と帰納法、他社事例・先進事例を踏まえて導出し、論理の接続詞である「順接・逆説・並列・補足・対比・転換」を利用して、複数の紙をひとつのストーリーに繋げた紙を日々作ります。

 

もちろん、相手のレベル(役員報告なのか、部クラスなのか、それとも現場担当者なのか等)や属性(システム関係者なのかそうではないのか)に応じた紙を書けることが必要です。

 

①-B.正確性

正確性は数字の確からしさ・誤字脱字がないことです。

 

前述の論理性において、デック(スライドのまとまり)を通して、記載が終始一貫しているかという話を書かせていただきましたが、それ以外にも数字や誤字脱字がないことが重要です。

 

かつては発展途上国支援の枠組みとして活用されていた「持続可能な成長を目指すための目標(SDGs)」が昨今謡われていますが、エコ的な思想に反して一番誤字脱字を確認しやすいのは紙だしして確認することです。

紙だしするが実体験として一番誤字脱字や数字誤りを見つけやすいのです。

 

どうしても自分で書いた紙というのはチェックが甘くなるので、ほかの媒体(iPadやほかのタブレット端末、会社によっては自社で音声ツールを導入していることもあると思いますので、読み上げ音声を聞く)での確認も検討してみて下さい。

 

①-C.時限性

時限性というのはその紙、デッキ、スライドを作る際に、どういう粒度感・切り口が求められているのかを把握し、そこに合わせた紙を作り上げることです。

 

例えば、今日が月曜日の夕方で、明日の朝に出さなければいけない紙、3日後でいい紙、1週間後の紙は同じテーマでも異なります。作りこみすぎても、作りこまな過ぎても問題になります。

 

特に昨今は働き方改革の影響もあり、残業を減らす方向で業界全体が舵を切っていますので、例えばアナリストの方で依頼を受けたのが16時で18時定時の場合、明日朝一でみたいとなった場合には、ブレッドポイントで方向性のすり合わせができればいい程度になるかと思います。

 

とはいえ、それも最終報告前に追加で紙を作らなければならない等のケースではまた別ですし、どのような背景があってその依頼がなされているのかを斟酌し、依頼者とのアウトプットの粒度のすり合わせをした上で作業にかかることをおすすめします。

 

①-D.書く力についてのまとめ

書く力について大きく3点お話しさせていただきました。いかがでしたでしょうか。


業界的な原点、バイブルをご紹介して終わりにします。かなり難しいというか、辞書的に時々眺める使い方がいいと思いますが、解説書のようなものも出ているのでそちらとセットで読んでみてもありかもしれません。

 

 

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Ex 記事に関連するおすすめ本コーナー

冒頭に書いたように、「最後の秘境 東京藝大」に出てくるような人物だったらコンサルティングファームでも大成するかもしれません。

www.shikinagi.work

 

何かを突き詰めて考えて考えた先の答えを探し続けるというプロセスは、芸術でもコンサルティングでも変わらないと思うからです。

 

    

 

最後の秘境 東京藝大―天才たちのカオスな日常:

おすすめ理由: ここに出てくる登場人物が身近にいたら、彼・彼女・その人たちの考え方、何を大切にしているかを聞いてみるといいかもしれません。

 

 ハーバードの美意識を磨く授業:

おすすめ理由:普段の生活、あるいは自分の好きなブランドをなぜ好きなのか、考えるためのきっかけになるかもしれません。

 

黒猫シリーズ:

おすすめ理由:美学×ミステリという、うつくしさをテーマにしたミステリです。難しい本などは嫌だという方も、そういうのをテーマにした小説面白そうだねという方も不思議な世界へ旅立てるかもしれません。

 

ロード・エルメロイII世の事件簿:

おすすめ理由:魔術やFateシリーズが好きな方は、このスピンオフ作品漫画の4-5巻あたりが、黄金姫と白銀姫という人物にまつわる「美」というのが事件のテーマになっています。

 

 それではまたどこかで。