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コンサルティングファームで求められる「導く力」

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総合コンサルティングファームのマネージャーが語るコンサルタントに必要な導く力

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皆様はコンサルタントとして必要な力は何だと思いますか。業界知識でしょうか、最先端のトレンドでしょうか。

 

それらももちろん大事ではありますが、もう少し基礎的な力がコンサルタントとしての力の源泉になります。

 

そしてそれはすべての役職で基本的には共通です。早速本編に参りましょう。

 

コンサルタントに必要な5つの力はすなわち、書く力・描く力・導く力・話す力・調べる力です。
これらがコンサルタントの基礎戦闘力を構成する要素となります。もちろんこの土台に論理的思考力があります。

 

今回お話しする描く力というのは日常業務の中で、常に求められ続ける力でもあります。本記事群では①から⑤まで順番に解説していきますが、これらは実際の業務においては順不同で必要になります。

 

実際のプロジェクトの種類や大枠でのファームの特徴なんかを整理した記事も併せてお読みくださいまし。

www.shikinagi.work

 

000 目次

コンサルタントとして必要な力はおおよそ5つ。本記事では、書く力にフォーカスします。

 

①書く力・・スライドライティング(いわゆる紙書き力)

②描く力・・構想をまとめ上げる力や、解くべき課題の切り口をみつける力 

③導く力・・部下、クライアント問わず関係者を自然な形で、あるいは時にあえて強引な形で誘導する力 

本記事

 ④話す力・・相手によって、緩急をつけた話し方と、適切な粒度での話ができる力

⑤調べる力・・デスクトップリサーチの勘所、ヒアリングの進め方
 

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001 導く力についての補遺編

導く力は、さらに3つの要素に分解できるでしょう。クライアントを導く力、上司を導く力、部下を導く力。

 

③-A.クライアントを導く力
クライアントを導く力は、描く力と連動してプロジェクトのカウンターパートである現場社員、課長・部長、役員あるいは社長。そしてその上にいる役員、社長などの上席者を転がす力です。

 

大量採用が始まる前のコンサルティングファームの中では、複雑なスキームや技術を組み合わせた提案やディールシェーピング(提案に必要な工数を見積、そのれに応じた価格をバッファ込みでどの程度の価格にするのか)などが一流ではないにしても、なぜかビッグディールを成立させてくる寝業師のような方も多くいました。


ある意味で営業らしい営業というか、どう人の懐に入り込むかでTRPGなどでいうところのAPP(魅力や個性)に尖った構成をしているような方です。

 

会話のリズムやテンポを駆使して、接触の初期段階で相手の話していない事なども掘り当てて、会話の中に織り交ぜることで純粋なWowなどを引き出したり、様々な手練手管を駆使して攻略していく様はある意味で熟練のTRPGのゲームマスターにもなぞらえるかも知れません。

(ちなみに私はクトルゥフTRPG一筋派です)

 

 

③-B.上司を導く力

上司を導く力は、上司を場合によってはコントロールする力です。

 

コンサルティングファームのクラスはANA(アナリスト)、CONS(コンサルタント)、MGR(マネージャー)と上がっていくにつれて給与なども上がっていくことになります。
総合コンサルティングファームのプロジェクトは、様々な類型があります。PJの人数が2名程度の小規模なリサーチ案件などから数百名に及ぶシステム導入案件などです。
とはいえ、どのプロジェクトにも共通しているのは、基本的に下のクラスで出来ることは、したほうがいいということです。

 

働き方改革の影響でどのファームにおいても稼働時間に一定の制約がかけられ、一方でDXなどのテーマにおいて案件数は増えています。
その結果、Up or OutではなくUp or Stayやそれに準じた形でのキャリア形成へと舵を切るようになっています。

 

その影響もあり、MGR(マネージャー)やSM(シニア・マネージャー)クラスが管理業務に追わたり、スタッフメンバのタスクを一部巻き取ったりなどして長時間労働が発生するケースもままあります。

 

その為、基本的なロジスティクス・アドミニ系業務(PMOなどが定めた内部ルールや、プロジェクト管理計画書などにうたわれている通りのルールでファイルを正しく格納したり、正しい命名ルールをつけたり、各種会議設定を代行したり、議事録を書く等)はスタッフメンバが最低限きちんと行うことが上位者とのコミュニケーションをとる上での第一歩です。

 

特に入社一年目などのメンバにおいては、まずは最低限ロジスティクス・アドミニ系業務ができていないと戦力になる前に、チームのパフォーマンスを下げてしまうことにもなりかねないので、ある種のコンサルしぐさとしてキャリアの初期に身に着けておくことを推奨いたします。

 

そのうえで自分の現状の立ち位置を把握し、上位者・上司に対して適切な粒度感で自分自身のタスク状況は順調なのか、順調でないのであればどの程度なのか、リカバリ案はあるのか、今後のスケジュールの特に重要なマイルストンへの影響などはないのか。

 

それはクライアントにとってのネガティブサプライズにならないか等のプロジェクト全体のタスクの組み立てと、スケジュールとの対応関係を意識したレポートをすることが重要です。

 

そういったことを意識して、日々行われるMTG、1on1において上司と適切にコミュニケーションをとり、自分の持つリソースではどうしようもない部分には遠慮なく上司を使い倒す気持ちで動いてもらう。ある種のwin-winを成し遂げましょう。

 

③-C.部下を導く力

部下を導く力は、いってみれば教育力というやつかもしれない力です。

 

昨今のコンサルティングファームにおける構成メンバはかなりバリエーションにとんだ人材が多いです。コンサルティングファームが時代のあだ花なのか、時節毎になんらかの問題や危険が発生した企業からの転職者が増えたりします。

 

例えば、3.11の東日本大震災の後は原発関連の部署を持ち、実際に福島の原発にかかわっていた企業である東芝社などからの転職者が増えましたし、昨今のコロナ禍においては旅行会社の社員や航空会社のCAなどもコンサルティングファームへの転職をしている事例があります。

 

さらにはNFHと呼ばれるNEC社、富士通、日立などのシステムインテグレータからの転職などもコロナ以前から多くなっています。

 

一方で、BIG4(デロイト トーマツ コンサルティング[DTC] · PwCコンサルティング合同会社[PwC] · KPMGコンサルティング [KPMG]· EYストラテジー・アンド・コンサルティング[EY])+アクセンチュア[ACN]内での転職は昔から一定数います。

 

これらの会社は(ある意味では)アクセンチュアも含めて会計事務所を起点としていますが、会社によってかなり内部統制や会社組織も異なっていますので、どの会社に行くのかは自分との相性含めてよく考えることをお勧めします。

 

本題に入りますと、この導く力は近年かなり大事になってきています。というのも先ほどまで述べていたようにコンサルティングファーム内に様々な人材が増えているからです。

 

旅行会社や航空会社などを含めて、それ以外にも電博(電通・博報堂)などの広告代理店の営業職、クリエイティブ職の人材やゲーム系の人など様々な畑の出身者が集うのです。

 

そんな多様の人材がいるので、みんな違ってみんないいという風になれたら素晴らしいのですが、そうでないこともやはり多いです。

 

この一連の記事中に述べている5つの力が基礎的な素養として必要になるというのは、どうしてもそういう多様なメンバを取りまとめていく上で様々な力を組み合わせることが肝要だからです。

 

プロファームのコンサルタントとして、五つの力は最低限の素養として持ち合わせていることを期待されてはいますが、とはいってもどうしても綺麗な五角形にはならず、いびつな五角形を構成している人も少なからずいます。一方でその歪さ、尖っている部分をうまくプロジェクトにかみ合わせて大活躍する人もいるわけです。

 

なので、もしそういう尖った方が自分の部下として配置された場合に大事なのは、期待するべくして期待するべくことは話したうえで、現有能力を生かすということだと思います。

 

③-D.導く力のまとめ

 

大きく三つの力があるというお話をさせていただきました。

 

コンサルティングファームの人材は多様化しています。そして、能力も昔とは異なりある程度経験を積んだアナリストからこのくらいのことはできるだろうですとか、ハイコンスと呼ばれるようなシニアなコンサルタントならこのテーマを任せてもいいだろうという事は一律には言えなくなっています。

 

 

相手の力量を見極め、どのような切り口で相手に任せるべきかということを戦略的に考える必要があるのです。これは対上司やクライアントについても同様です。

 

相手を自分の転がしたい方向へ、時に足場を整えてあげつつ自ら転げていってもらう。そして、それには本人は気づいていない。というのが一番理想の人の転がし方かと思いますので、その域を目指して頑張りましょう。

 

それではまたどこかで。

 

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Ex 記事に関連するおすすめ本コーナー

「最後の秘境 東京藝大」に出てくるような人物だったらコンサルティングファームでも大成するかもしれません。

 

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美大生や藝大生にあこがれつつ、一般的な道を歩んでしまったものとしてはせいぜい、美意識を磨いたりしているわけですが、黒猫シリーズの教授やエルメロイ二世にはあこがれるものがあります。

 

    

 

最後の秘境 東京藝大―天才たちのカオスな日常:

おすすめ理由: ここに出てくる登場人物が身近にいたら、彼・彼女・その人たちの考え方、何を大切にしているかを聞いてみるといいかもしれません。

 

 ハーバードの美意識を磨く授業:

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黒猫シリーズ:

おすすめ理由:美学×ミステリという、うつくしさをテーマにしたミステリです。難しい本などは嫌だという方も、そういうのをテーマにした小説面白そうだねという方も不思議な世界へ旅立てるかもしれません。

 

ロード・エルメロイII世の事件簿:

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 それではまたどこかで。