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2020年代前半になると、文系理系共に商社やメーカーへの就職志望度が高い状態から、マッキンゼー、アクセンチュアなどのコンサルティングファームが上位にくるなど、トレンドの変化が発生しています。
東京大学、京都大学、はたまた早慶上智大学などの日本国内における上位大学の学生からコンサルティングファームが人気を集めるのはそのプロジェクトの種類にあるのかもしれません。
★-002.コンサルティングファームのプロジェクトの基礎・基本
★-003.コンサルティングファームの種類
★-004.コンサルティングファームのお仕事やプロジェクトのまとめ
はじまりのコンサルタントは、フレデリック・テイラーという人で経営学の教科書や管理科学の教科書などにもでてくる方です。
この方がやったのが、工場の生産・組立作業を要素分解して、それぞれの最適化をすることで結果的に工場全体の生産サイクルを上げるというものです。
共産主義者にしてソビエト連邦のレーニンさんがテイラーさんへ以下のような批判をしています。「同じ労働時間なのに、やつが手を入れると3倍以上も労働力が搾取される」と述べています。
要するに、某ガンダムにでてくる赤い彗星のシャア・アズナブルさんのごとく3倍速で動けるように、労働者を能率的に仕立て上げていたという事です。
この方の思想(科学的に評価測定し、能率を改善していく)などをベースにして、今日の日本人が抱くアメリカの合理主義的な側面や、コンサルティングファームの基礎が築かれていったといえるのかもしれません。
そうそう、はじまりのコンサルティングファームは、1886年にアーサー・D・リトルという現在も老舗戦略コンサルティングファームとして著名な会社の設立者が立ち上げました。
テイラーさんは製造業系につよつよの人であり、コンサルタントというと業界/Industory(製造業、小売業、航空機産業、医療・ヘルスケア、金融等)や、ファンクションと呼ばれる業界横断での機能/Function(SCM、会計、マーケティング、CRM、HR等)のプロフェッショナルという風に見られますが、出発点であり原点は問題解決のプロフェッショナルということです。
では、問題解決のプロフェッショナルとはなんでしょうか、というテーマを掘り下げていきます。
また別記事で、コンサルティングファームで求められる書く力や、あるいは別の意味での描く力なんかについて体験を交えてまとめていますので、あわせてお読みください。
また個人ベースの体験談も重要ですが、それだけだと生存者バイアスがかかっている部分もありますので、お手本教科書的な書籍もさらっておくことをおすすめします。
以下なんかがよろしいんじゃないでしょうか。
おすすめ理由:本記事や類似の記事を読むのもありなのですが、いろいろな基礎的な事項が網羅的に書かれているので併せて読むのがおすすめです。なぜ帯に傘をさしている人が描かれているのか、表紙に雨が降っているのか。それに気づき、あああの事ねとなるか、それとも何故?となるか。少しの違いかもしれませんが、大きな結果の差異につながるかもしれません。
さて本題なのですが皆様、5W1Hをご存じでしょうか。中学クラスの英語学習において、便利な補助線として活用できた概念です。
具体的には5W1Hは以下の6つの概念から構成されます。
◆Why:理由-->なぜ、やるのか
◆When:時間性-->いつ、やるのか
◆Where:場所性-->どこで、やるのか
◆Who:責任所在-->だれが、やるのか
◆What:対象-->何を、やるのか
◆How:手段-->どのように、やるのか
区分があるといっても、別に上流が素晴らしくて、下流が誰にでも出来るというわけではありません。
多くの人にとって、とはいえ上流工程のほうが魅力的に映り、上流あるいは超上流のプロジェクト(時に、キラキラプロジェクトとも呼ばれたりします)へのアサインを希望します。
上流と下流では何が違うのでしょうか、大きくは必要な人間の数と、必要なスキルの種類です。
例外もあるにはあるのですが、基本的に上流工程に必要な人数のほうが少なく、下流工程に必要な人数のほうが多いです。
例えば、山から海へと流れ込む川をイメージしてもらうとよいのですが、山の頂から湧き出た水が下流になるにつれていろいろな川へ分岐したりして、どんどん川幅も大きくなり、最終的に海へ流れ込みます。
山から海への川の流れと同様に、上流で輪郭やコンセプトが形作られたものをより具体的にしていくのが下流となります。
例えば、旅行に行くときに計画を立てますよね。まず初めにくるのは、そもそもなぜ旅行に行きたいのかが来ると思います。
Q.なぜ旅行にいきたいのですか?
A.GWだから、旅行に行きたい/子供たちが夏休みで家にじっとしていられないから/親孝行として親の卒寿記念に 等
それから、いつ行くのか、そしてどこへ行くのかにつながっていきます。Whyで整理した理由によってWhenやWhereとなる時間や場所についてもある程度導き出せたりしますよね。
そして、責任の所在です。何名参加するのか、予約をするのは誰か、複数家族やグループの場合は誰と誰がどう合流するのか。
そういったものを決めた後に、旅行先で何をやるのか。海水浴なのか、美術館巡りなのか、寺社仏閣やパワースポット巡りなのか。単に温泉でのんびりしたいのか。
そして、旅行先までの移動手段、支払い方法などを決めていって旅行計画は完成すると思います。そして実際に旅行に行くところまでフォロー(伴奏型支援)するのが近年のコンサルティングファームです。
簡素化した旅行計画の立案内容はいかがでしたでしょうか。
実際のプロジェクト類型なんかは後述しますが、どのコンサルティングファームも近年はこの頭からお尻までをカバーしようとしています。
あるいは戦略コンサルティングファームでは、Whyよりもさらに上位にPurposeなどを置いて、そこへのコンサルティングオポチュニティー(案件の種)を育てていますが、大きくは全体をカバーしようとする流れは変わりません。
補足すると、このPurposeは旅行計画になぞらえると、「Aさんの家は、子供たちに豊かな完成を育てたいと考えているのでグローバルと国内の超田舎と超都会を交互に訪れて様々な体験をさせようとしている」という感じになるでしょうか。
Whyの背景にあるものです。様々な体験をさせたいという背景を掘り下げておくと、珍しい動物に触れる場所へ旅行に行きたいですとか、あるいはそもそも旅行ではなく子供たちをサマーキャンプに送るという選択肢もあるのではみたいな議論もできるわけです。
さて、それではコンサルティングファームの種類について、お話しします。
特徴やプロジェクトのタイプ、それから前述している5W1Hの内どれに当てはまるのだろうと頭の中で補助線を引きながら読んでみるとより理解度が高まるかもしれません。
★1.戦略コンサルティングファーム
戦略コンサルティングファームは、前述のアーサー・D・リトルなどを含め、日本の就活や転職で著名なMBB(マッキンゼー・アンド・カンパニー[マッキンゼー]、ボストン コンサルティング グループ[BCG]、ベイン・アンド・カンパニー[ベイン])などが含まれています。
そして、この戦略コンサルティングファームが行うのは、主にWhyにまつわるコンサルティングです。
テーマ的には、新規事業/M&A、海外進出などを含めた全社戦略です。
新規事業やM&Aなどは、一番わかりやすいコンサルティングらしいコンサルティング案件だと思いますが、近年では単独でその企業が新規事業を行う提案をするというよりも、エコシステム(どういうパートナー企業と組むのか、国内企業かベンチャー企業か、海外企業か、NPO・NGOなどか、複数社のパートナーを組むか、それともアライアンスのような形か、買収してノウハウを手に入れるか)をどう組んでいくかも大事です。
このエコシステムを組むという部分は、「都市OS」や「DMO[デスティネーション・マネージメント・オーガナイゼーション]」なんかが分かりやすい例かも知れません。
都市OSという都市をひとつのコンピュータに見立てて、様々な利用者のデータを集め共有し、利用するプラットフォームを作りましょうというプロジェクトのタイプがあります。
戦略コンサルティングという意味合いで行けば、都市OSやDMOのような過去で言うと、CRMやSCMのような新しいプロジェクト体系(教科書に単語として乗るような)を0から作り出す仕事が真の超上流にして戦略といえるかもしれませんが、それは本当に一握りの人間がなせる業なので、それ以外の戦略案件を行っている人が大多数です。
それ以外といっても、都市OSというプロジェクト類型で何を目指すべきか、どう組み立てていくかのような案件は十分に戦略案件といえると思います。
また、2020年代前半のトレンドでいけば、戦略コンサルティングファームは超上流から徐々に上流中流へとその範囲を広げています。
これは、戦略コンサルティングファームの出身者などが各企業に一定数存在するようになったということもありますが、戦略を立ててもVUCAと呼ばれる昨今の時代ではほんの1年でも目まぐるしく環境が変わってしまい、そもそも立てていた戦略が役に立たなくなるというケースも多く、企業側からしたら「ゆりかごから墓場まで」伴奏してくれるコンサルタントを求めているからだというのもありそうです。
とはいえ、戦略コンサルティングの魅力は自分の知性を存分に一流企業の役員やCXOなどにぶつけて、高度な対話の果てにアウトプットをだしていけるという知的ゲーム性だと思いますので、人類が新しいステージに立つたびに、スポットライトは浴びていくことになると思っています。
例えば、月面プラントと火星プラントにおいて、どのような工業製品を生産するべきかとか(あるいは、プラントではなくもっと別のものを建設するべきであるとか)。
別記事でまとめさせていただいた「コンサルタントとして必要な描く力」、それと「コンサルタントとして必要な調べる力」なんかが特に必要になる領域ですね。
戦略コンサルティングファームはある意味で東京大学の教養学部やICUや早稲田大学国際教養学部、社会科学部、慶應義塾大学のSFC(湘南藤沢キャンパス)の総合政策学部・環境情報学部などの学際系学部と類似性があるといえます。
というのも、戦略コンサルティングプロジェクトでは、様々な業界の役員層などの人、それから様々なビジネスモデルなどの稼ぐ仕組みなどに日々日々接することになるからです。
しかも、戦略プロジェクトはその期間が1か月から3か月と短期間で終わるものが過半数ですので、複数の業界や企業を高速で経験することができます。
だからこそ、大学や大学院の延長戦上として自分のやりたいこと、あるいは企業を目指す上での実戦経験を積むため、あるいは人脈を作り出すために就職人気が高まっているという理由がありそうです。
★2.総合コンサルティングファーム
総合系コンサルティングファームでは、Big4やアクセンチュアなどが著名です。
総合系コンサルティングファームは、それこそ戦略立案からオペレーションとよばれるアウトソーシング業務(BPO、ITO、IO、AO)などまで全部行います。
そして、カバー範囲は新しいプロジェクト類型や新しい技術スキームが出るたびに増えていくことでしょう。例えばコールセンターのアウトソーシングなども単に電話オペレータだけがいたモデルから、OracleのSiebelなどが出てきた影響もあって、裏でCRMを管理するオペレータなども必要になりました。
2010年代半ばころまでは、わりとSAPやOracleといった人給会計や販売購買生産管理などをパッケージ化したERPパッケージの導入で多く儲けていた部分もあったのですが、近年はDXと呼ばれるプロジェクトテーマに含まれるIoT、デジタルコマース、5G、量子コンピューティングなど多くのテーマが登場してきたこともあって、デジタル関係の部署を充実させたりグループ会社としてスピンアウトさせたりして売り上げをのばしています。
総合コンサルティングファームも前述の戦略コンサルティングファームと同じように学際系の特徴を備えているという事ができます。
というのも、配属された部署にもよりますが、Management Consultant(MC)にせよTechnology Consultant(TC)にせよ業界や特定機能の軸で様々な企業をみることに違いはないからです。
特にデジタル系ではそこまで共通点もない複数のプロジェクトに従事することになるからです。
最初のプロジェクトが新規事業立ち上げのプロジェクトでExcelを駆使して各種費用や費用対効果を頑張って計算してビジネスケース作成の補助作業をしていたと思ったら、次はシステム案件の業務要件定義支援に入り事業部の方へのヒアリングを繰り返し、それが終わったと思ったら、3か月単位で更新されるマーケティング案件でGTMの数字をみたり施策立案をするようなプロジェクトになるといった具合です。
上記のようなパターン(実際に上記にあげた例もあれば、順序や種類が全然異なるものも当然ある)は実際に何名もの知人が経験していることですので、幅広いプロジェクトを経験したうえで、自分のやりたい道へ進むというある種のモラトリアムを経験できるという意味では優れているといえます。
特に人材の面でも、プロジェクトの種類が本当に多岐にわたるので(例えばマーケティングの一環でCMを作るプロジェクトや、自動車メーカーではデジタルツインで新型車をCG作成し、それをショールームにVR展示するなどのプロジェクト等)、多様な種類の人材に会える機会があるというのも魅力かもしれません。
★3.ITコンサルティングファーム
ITコンサルティングファームは、特に総合系コンサルティングファームが行っているような業務内容の内、システムの構想策定からシステム導入あたりまでを主戦場としているところです。
★4.デザインコンサルティングファーム
グローバルでは、アクセンチュアに買収されたFjord、日本国内ではgoodpatchなどが著名です。
日本の就活生の中では2020年代前半の現在、あまり知名度が高いは言えないかもしれませんが、デザインコンサルティングという潮流もグローバルで見れば確かな流れとして成立しています。
日本だと、総合系やITコンサルティングファーム、あるいは制作会社と提供するサービスの意味合いの違いをクライアントに訴求できずになかなか苦戦している部分もありますが、今後伸びてくる分野の一つではあると考えています。
デザインコンサルティングファームが提供するコンサルティングの内容は、5W1Hが全部盛りになっていることが多いです。
というのも、例えばECサイトのリプレース案件にデザインコンサルティングファームが参画するとなるとこういう形になります(簡素化して記載します)。
【簡素なプロジェクト類型】
超上流: クライアントの環境の整理、競合他社の動向を踏まえた全社戦略策定、会社のブランド戦略策定、リアル店舗とECなどの売上目標の策定、全社戦略を踏まえた新規事業立案
上流: 頂上流で立てたチャネル別などの目標を達成するための改革テーマ整理、ブランドイメージ向上施策立案、テーマに応じたITロードマップ・ブループリント(ToBeシステム構成)、チャネル別の事業戦略策定、新規事業計画のフィージビリティスタディ・事業モデルのシェイピング
中流: 改革テーマとITロードマップを受けたシステム構想、ブランドコマーシャル施策コンセプト立案、業務プロセス改革
下流: 実際のSIプロジェクト(システム導入)、ブランド広報・・ECサイトリプレース
海:システム運用、ECサイトマーケティング
上記の例で補足すると、デザインコンサルティングファームの参入余地があるのが、頂上流であればブランド戦略策定あたりからです。
誰しもがSNSでつながり、不特定多数の人間によってコーポレートサイトや企業の実店舗・ECなどの顧客接点(タッチポイント)における細々とした部分に至るまで、確認・監視されています。
企業にとってもある種のデジタルタトゥーが残ってしまう事業環境において、ユーザーと分かち合えるナラティブ(サービスやプロダクトの提供者と受容者がお互いに共有できるストーリー)を描いて、発信していくかどうかというのはとても重要なファクタになっています。
超上流部分からデザインコンサルティングファームに入ってもらい、ブランド戦略からブランドイメージの施策コンセプトなどを抽出し、実際にぐるぐるサイクルを回すところまで入り込む、あるいは施策をぐるぐる回すところはアドバイザリーとして入るという類型です。
プロダクト類型で問題になるのが、主に中流〰下流域の部分です。制作会社と呼ばれる従来は広告代理店から依頼を受けて、デジタルコンテンツなどを作成していた会社も、近年はECサイトのデザインなどの分野に進出しています。
そして、人件費などのコスト面では制作会社の方がお安くなってしまいがちなので、デザインコンサルティングファームで超上流・上流をとれていないとなかなか売り上げを伸ばしきれないというジレンマもあったりするのです。
※コンサルティングファームは戦略だろうと総合だろうとUXだろうと、基本は人月商売の為(=どれだけ人の稼働をクライアントに売れたか)
コンサルティングファームの記事はいかがでしたでしょうか。実体験や周囲の観測範囲を基にした記事構成となっております。
ですので、すべてがすべてこんな感じに動いていたりプロジェクトが形成されていたりするわけでもありませんが、新卒にてコンサルティングファームを受けようとしている方や第二新卒、それから転職しようとしている方に対しての一つの参考になれたらと思います。
それではまたどこかで。
ここは、記事に関連するといいつつ気晴らしに読める漫画や小説などをひたすらレコメンドするコーナーです。個人的な趣味に偏っていますが、面白いのでぜひ。
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機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還(1) (角川コミックス・エース)
おすすめ理由: 連続テレビドラマ「SUITS」の序盤のシーズンでは、ハーヴィー・スペクターとマイク・ロスの会話で「大人」と「子供」という表現がよく出てきます。この表現がコンサルティングファームの現場でも特に40代以上の方からはよく出てきます。曰く「こどもたち」などです。この表現はジュニアなコンサルタントのメンバを指しています。実際にこの表現を使われる側から、使う側・あるいは使わないにしても表現する側にどれくらいのスピードで回れるのか、あるいはスローなキャリアを築いてそちらに回りたいのか、悔いのないキャリアを。そして、この漫画は面白いのでぜひ。
外資系金融のExcel作成術―表の見せ方&財務モデルの組み方
おすすめ理由:Excelの生きたノウハウが詰まっている書。実際の業務でTipsである例えばA1セルにカーソルをそろえるですとか、あるいはメインの表の下や右に少し離したところにeを置いておくとかは覚えると思うのですが、型のようなものを手っ取り早く社内でシェアされている資料と共に見ていくと理解具合や自分が実際に作らないといけなくなった場合の解像度が異なってくるかと思います。
それではまたどこかで。