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コンサルタントとプロモーション、評価会議

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コンサルタントとプロモーション、評価会議



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コンサルタントとしてプロモーションは重要な意味を持ちます。

 

給与のレンジ帯は、プロモーションによって大きく引き上げられますし、権限自体もプロモーション毎に拡張されていきます。

 

初めはコンサルタントから与えられた指示に自分なりのエッセンスや示唆を加えてアウトプットを出していたアナリストがプロモーションするとコンサルタントになります。


コンサルタントはマネージャーから与えられた一つ、あるいは複数のテーマにおいてタスクを分解し、あるいはプロジェクト提案書に基づいてこういう切り口のテーマもありうるのではないかというディスカッションをマネージャーと行い、一方で下についたアナリストへテーマにおいて切り分けたタスクを依頼します。

 

そんなコンサルタントがプロモーションすればマネージャーです。人によっては様々な提案を手伝い、SME(シニアマターエキスパート)と呼ばれる各テーマの専門家のアドバイスを受けつつプロジェクトを切り盛りしたりもします。

 

もちろん、部下となるコンサルタントへの指導や、テーマの進捗が悪い場合には自分で動くケースもあり、かなり働き方として多様性が生じ始めます。


ただ多くのコンサルティングファームでマネージャー以上が、組織の一定以上の情報への初歩的なアクセス権限を与えられ始めます。

 

センシティブな組織情報を明示的に見ることができるようになるという意味で、そしてプロジェクトの責任者になりうる資格をえたという意味で、マネージャープロモーションは多くのコンサルタントにとって特別ない意味を持ちます。

 

業界に一定以上慣れ、それなり以上のパフォーマンスを挙げている人でも、マネージャープロモーションを果たしたことで未練はないという風に業界を去っていく人も多い印象です。

 

アナリストやコンサルタントクラスですと、ともすれば後ろ向きな理由で転職していく人が多く感じられるのですが(むろん前向きな理由の方も多くいます)、マネージャー以上の人は新しくやることができたですとか、家族との時間といった前向きな理由に感じられるのが一つの到達点を超えていることによる心理効果なのかもしれません。

 

000 目次
001 基本的な基準
002 評価会議って何をするの?
003 評価会議とプロモーションのまとめ

 
001 基本的な基準

コンサルティングファーム所属のコンサルタントのプロモーション基準は一つ上のクラスの仕事ができることというのがよく知られている話かと思います。
そこから一歩先んじて、ボストンコンサルティンググループ日本代表や早稲田大学ビジネススクール教授を歴任された内田 和成さんや、マッキンゼー・アンド・カンパニー出身でありDeNA創業者の南場社長は二つ上のクラスの視座を持ち、その視座を持ったうえで仕事をできるよう立ち振る舞っていたというエピソードがあります。

二つ上のポジションをベースにした仕事ができるかどうかはさておいて、プロモーション上では一つ上のポジションをベースにした仕事ができるかは確実に判定されます。
プロモーションレディになっているその方のポジションがスタッフクラスなのか、それともマネージャー以上なのかによっても大きくは変わります。

 

マネージャーまでの評価では、以前の記事で書いた書く力導く力などの定性的な力が重要ですが、マネージャー以上の場合は売上を作ることができるか、デリバリーを安定して行うことができるか(獲得した提案の金額を守れるか)という定量的な評価が可能になってきます。

 

www.shikinagi.work

 

 

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コンサルタントのある種の上がりのポジションがマネジングダイレクター(MD)ではありますが、アナリストからマネージャーよりも深い溝がマネジングダイレクター(MD)の世界にはあるようです。

 

というのも、マネジングダイレクター(MD)においても多くのコンサルティングファームでは細分化されている為です。それが2階層なのか3階層なのか、4階層なのか、あるいはもっと多いのかはコンサルティングファームの規模によります。

 

よりますが、上に上がれば上がるほどそれだけ多くの権限を持つことができ、コンサルティングファームの資源を活用して比較的自分の好きなことをできようになります。

 

一方で評価される指標も明確で、シニアなマネジングダイレクター(MD)の評価基準は多くの場合、CAGRになります。

 

CAGRは年平均成長率を意味しており、多くの場合3年とか5年以上の成長率を年あたりの値に戻した数字になります。

 

投資などの考え方同様、会社の成長も単純な年の積み重ねではなく、複利で成長が積み増されているという考え方をベースとした計算です。

 

もちろん強大な権限を付与されている分、成長をもたらすことが出来なかったら首になります。

 

コンサルタントの一部界隈ではマネージャーくらい、あるいはシニアマネージャーの初期が一番気楽だったということをいう人がいるのもそういった自分自身の意思決定に様々な重みが加わってくるからかもしれません。

 

 

002 評価会議って何をするの?
コンサルティングファームでは、基本的にプロジェクトの上司以外に組織における上司という存在がいます。そして、プロジェクトの上司からの評価を受けて、評価会議で代理で戦うのが組織における上司というわけです。

 

評価会議は、かつては絶対評価が多くコンサルタントが10人いたら10人の順位が算出され、上位2名は問答無用でプロモーション。


下位2名は首というようなシンプルな仕組みでしたが、コンサルティング業界自体が賑わい、コンサルタントの人数が多くなり現実的に絶対評価での算定が難しくなったことで、相対評価に移っています。

 

評価会議でもっとも紛糾する、あるいは倍率が高いと言われるのがマネージャーへのプロモーションを判定する評価会議です。


これはスタッフクラスからマネージャー以上へとキャリアを進めることにより、会社的に様々な権限の付与やそもそもコンサルタントとしてひとつのプロジェクトを切り盛りする力があるかを問われることになるので、納得できるかもしれません。

 

マネージャー以上へのプロモーションの場合には前述のように、数字的・定量的な評価をベースとしてある程度、同じ尺度で客観的に比較することができるので、コンサルタントからマネージャーへのプロモーションほどは紛糾する要素がないとも側聞したことがあります。

 

評価会議では、どういったプロジェクトでどのように貢献してきたかを問われることになります。この場合、産休や育休を評価機関内に取得していたとしても、基本的にどのコンサルティングファームにおいても例えば育休を半年取得していたとしたら、残りの半年で期間単位あたりにどのくらいのパフォーマンスを発揮したのか、あるいはチームやプロジェクトへ貢献したのかといった要素を勘案されます。


この時間単位あたりのパフォーマンス評価というのが曲者で、紛糾する原因でもあります。

 

この場合の紛糾というのは、評価会議の中と外双方の話です。中において、AさんとBくんが類似のプロジェクトを経験していれば比較もしやすいのですが、基本的にまったく同じようなプロジェクトを経験しているというケースは少ないです。

 

Aさんが新規事業構想のプロジェクトに2か月、そのあと構想具現化のプロジェクトを3か月、それから顧客ポータルのマーケティング案件に6か月という経験をしている。

 

一方でBくんが業務要件定義支援を3か月、戦略案件で中計を立案した後の後続プロジェクトに参加して、ITプランニング構想フェーズに3か月参画し、そのあとまた別の会社の未来の小売店舗構想を3か月、長期休暇を1か月取得してITプランニング構想フェーズの後続案件のフェーズ2で業務要件定義を2か月経験して在籍中という状況です。

 

かなり細分化した例ではありますが、これらでそれぞれのプロジェクトにおける評価内容を確認し、細かなエピソードなども拾い上げ、場合によりそれぞれのプロジェクトリードの推薦があったりもします。


様々な変数を解きほぐして、で結局どうなのかという比較をしていくわけです。限られたプロモーション枠に対して。

 

外というのは、特に産休や育休を経ている人がプロモーションし、そうではない人がプロモーションできなかった場合におこりがちです。同じようなアウトプットを出しているので彼や彼女よりも、自分のほうがプロモーションされるべきであるというような形でそれは現れます。

 

ただ、これも前述したように評価の基本的な軸は、その人物が期間単位あたりで挙げた貢献、パフォーマンスとそもそもその彼や彼女がプロモーションした後に次のポジションで活躍できそうかどうかです。

 

003 評価会議とプロモーションのまとめ

チームをオーガナイズし、時にクライアントを巻き込み情報連携のハブになったり、あるいはクライアントの心をわしづかみし、次案件につなげていくようなふるまい方が求められていく昨今です。

 

コンサルティングファームにおいては往々にして、プロモーションしていく毎に営業としての側面が増していくものですが、スタッフクラスだとしても営業という観点は必要だったりするのです。

 

それは評価やプロモーションに確実につながっていきます。

 

それではまたどこかで。

 

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新任警視

おすすめ理由:元警察官僚というバックグラウンドを持つ古野まほろさんの小説シリーズです。天帝シリーズに代表される衒学的というか、ひたすら単語や熟語の多いタイプの小説ですが、慣れるとなかなか癖になる読後感です。このシリーズでは、案外に出世などを意識した立ち振る舞いなんかもしているので、ほどほどに参考に。

 

 それではまたどこかで。