「落合陽一、山紫水明 ∽ 事事無碍 ∽ 計算機自然」展
@Eye of Gyre
2018年4月21日。落合陽一さんの個展「落合陽一 、山紫水明∽事事無碍∽計算機自然」に行ってきました。
藤の木の薫りを聞きながら、蛙が池に飛び込まんとする作品を横目に茶室を模した扉をくぐる。
— 樟葉 涼 | Arts of Shikinagi 代表 (@kusuharyou) 2018年4月21日
落合陽一(@ochyai )さんの個展「山紫水明∽事事無碍∽計算機自然」
入った先は茶室のように落合陽一の差配するテクノロジー、アートによって自身の視覚と聴覚が試される世界。
@ 代官山 EYE of GYRE (3F) pic.twitter.com/MMQNHZls4I
目次
開催概要
開催期間:2018年4月20日(金 )〜6月28日(木)
開催時間:11:00〜20:00
会場:EYE OF GYRE 東京都渋谷区神宮前5-10-1
観覧料:無料
最寄駅:表参道駅A1出口より徒歩4分 | 明治神宮前<原宿>駅4番出口より徒歩3分
思えば、社会人になってから「個展」というのは初めて参加したことになります。
落合陽一さんの作品十数点が展示されている展示会場はエスカレータで登っていくと丁度、反対側になるので行かれる方は少しだけ注意が必要です。
落合陽一さん、そもそも最近テレビでよく見るけど実際どんなものをアーティストとして作っていて、どんなテーマで作っているの?
そんな質問の答えを知ったり、個展なので展示会全体のアーティストとして何を大事にしているかの美意識を捉える機会ではないかと思います。
Ⅰ 展示作品
入口は茶室、幽玄の世界へ誘うのように
入口はこのような形式になっていました。
まず匂いたつような濃厚な藤の木の香りに包まれながら、右手の茶室を模したかのごとくかがまないと入れない入口をくぐることになります。
入口の円形の窓といい、かがんで入る展示部屋といい、日常から切り離した五感の内の三つ見て、聞いて、嗅いでに期待をしつつ潜ります。
潜った先にあるものは、未だ人があこがれた止まぬ浮遊の技
以前行くことが出来なかった展示から移植されたという浮遊する玉。
落合さんのTwitter、あるいはNewsPicsのWeekly Ochiaiでトラックを見ていて思いついたというエピソードを聞いたことがあります。
確かにGoogle先生に「トラック タイヤ」で画像検索で聞いてみると、類似する形をたくさん見ることができます。
ぼんやりと眺めていて思うのは、やはり浮遊というのは憧れだなということです。
鳥のように、あるいは雲のように空に飛びあがり空へのあこがれを抱いて、浮遊の技術を秘術を求め続けた先に、宇宙へと飛び出した人類ですが、いまでも飛行機にのる前には多少の感動があるものです。
よくこんな鋼鉄の塊が飛ぶものだと。
個人的にGONZO制作の『LAST EXILE』(ラストエグザイル)というアニメーション作品が好きなので、その作品の影響があることは認めます。
蝶は飛ぶ、いずこかへと時間と空間に依存せず
モルフォ蝶。
その青い羽は多くの人間を魅了してきた自然美です。
ただ、その羽は脆く繊細で、蝶のコレクションをするには体液が漏れ出て羽の光沢を傷つける可能性のあるお腹部分を除去した形が多いとか。
それを複合プリントで金属光沢なども含めて表現し、なおかつ装置で羽ばたきをするというインスタレーションになっていました。
蝶の収集、美しい蝶が出てくる作品。
連想するのはヘルマン・ヘッセ「少年の日の思い出」です。
失った、損なわれたものは二度と戻らない。
少年時代のほろ苦い思い出についての記述が情緒を揺さぶる小説ですが、複合プリントで作成されたこの蝶があの作品の中に登場したら、どのような波紋を広げたのか少しだけ夢想しました。
蝶の標本化という活動の意味合いが多少違ったものになったことは確かでしょう。
対象を人口ととらえるか、自然ととらえるか。
Aiboがパーツ交換できなくなって、稼働しなくなったことで悲しみ暮らす方もいると聞きます。
人口の蝶と自然の蝶。蝶だけでなく、自然のものと人口のものとが入り交じるデジタルネイチャ―世代の幼少期を過ごしたた人間がどのような感性をはぐくむのか、次の10年、あるいは20年。
どのような教育を施すのか、どのような世代が生まれ出てくるのか非常に興味深いなと蝶を見ながら感じました。
歪む認識、光が曲がる
風景が歪んでいる。
光が曲がっているように錯覚する。
人の目は意外に役に立たない。
見たものを見たままに脳が認識している筈なので、けれど見える景色はまるで光の曲がり角にいるかのようで。
ぼーっとしばらく眺めていた。
結びに -所感-
落合陽一の世界観。
手を動かした結果、出来上がった作品たち。
無料ということもありますし、いま様々なメディアで取り上げられ、流れの最先端にいる人がどういう考えでどういう作品を作っているのか。
どういう世界観を抱いているのか。
そういったことが気になる方はぜひ、ご観覧をお勧めします。
同じ場所で後日開催されたトークショーについての記事となります。