@マークぐるりん | ムサビ通信とアート、経営コンサルタント

外資系コンサル畑にいるアート好きビジネス侍のコラム@元ムサビ通信ブログ

2018-Pe-30.【コンピュータリテラシーⅢ】×武蔵野美術大学×通信課程 for 2018-Spring

2018年春季に受講した武蔵野美術大学通信の「コンピュータリテラシーⅢ」(スクーリング2単位)について、講義内容の紹介と学んだことについて確認したい方向け、あるいはムサビ通信に興味をあるけれども具体的にはどんなことをしているんだろうという方、コンピュータリテラシー系の講義ってなんだろうちょっと興味あるなという方向けに記載しています。

 

コンピュータリテラシー系の講義はⅠ、Ⅱ、Ⅲとありますが、武蔵野美術大学通信課程の技術系の先生方がAdobe社のillustrator(イラストレーター)・Photoshop(フォトショップ)といった技法とその道具の紹介をする導入講義です。

 

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講義 美術入門
場所 吉祥寺 校舎
日時

6/16(土曜) 900分〜1730分   6/17(日曜) 900分〜1230

テスト

イラストレーター、フォトショップで初日に作成した課題作品(画像のグレースケール化、ベジエ曲線を用いた練習作品、タイポグラフィ)を組み合わせて例示された通りの構図の作品を作り上げて印刷し、提出

サマリ

 吉祥寺のコンピュータ教室でした。2教室にランダムに振り分けれており、1教室辺りで30名前後でした。

illustratorPhotoshopの基礎的な部分(illustratorを用いたタイポグラフィPhotoshopを用いた画像加工)を学ぶことが出来、普段どちらのソフトも使っていない方などは受講する事で多くの学びを得られると思います

 先生はコミュニティデザインコースやデザインシステムコースの方

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illustratorPhotoshopの違いについて

突然ですが、イラストレーターとフォトショップの違いについて明確に説明できますか。

 

私は出来ませんでした。

 

なんとなく、フォトショップは写真加工ができるソフトウェアであり、 一方のイラストレーターはイラストを描いている方がデータを取り込んで色を塗ったり加工をする、あるいはフライヤーを作ったりするもの。

 

二つのAdobe製品に対する印象はそんなどこかぼやけた印象のあるものでした。

イラストレーターで写真加工ができない訳でもないし、フォトショップで文字を加工したりする記事などは多く紹介されている。

 

結局二つのソフトの使い方は置いておいて、役割としての違いは何なのだろう。

今回の講義を受講した理由にはそういった背景もありました。

 

では、結局何が違うのでしょうか。

 

illustratorPhotoshopの違いは画像の処理方法にあります

illustratorベクターグラフィックス。Photoshopがビットマップグラフィックス。

 

平たく言うと、illustratorの画像は「2点間の位置関係、AからBへどのような線が引かれているのか」という形式のファイルを作成可能であり、位置関係が重要なファクタになっているので、大きさを縮めたり、大きくしたりしても崩れません。

 

一方でPhotoshopの処理では「細かい点がたくさん集まって線になる」という形式のファイルを作成可能ですそのため、大きくしたら、画像は荒くなります。

 

@2018/06/17

今日の二日目講義が終わったら、記事をupdateします。

 

 

 

 

 

 

2018-Pe-27.【美術入門】×武蔵野美術大学×通信課程 for 2018-Spring-05 まとめと感想

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美術入門についての記事の5 記事目「美術入門のまとめ」の記事です。

1/5  2/5  3/5  4/5  5/5

 

1. 美術入門について

美術入門の導入

美術入門の導入

武蔵野美術大学の通信課程である通称「ムサビ通信」では、年に複数回同じ講義のスクーリング授業を行います。

本記事は2018年春季に受講した武蔵野美術大学通信の「美術入門」(スクーリング2単位)についての記事です。

主に講義内容の紹介と学んだことについて確認したい方向けにそれぞれオムニバス形式の先生がたのお話されたポイントや気づきを整理してあります。

また、ムサビ通信に興味をあるけれども具体的にはどんなことをしているんだろうという方、美術ってなんだろうちょっと興味あるなという方はこの記事で具体的なイメージを得る事が出来たら幸いです。

1.1 美術入門の概要

美術入門の概要

美術入門の概要



美術入門は武蔵野美術大学通信課程の絵画コースの先生方がオムニバス形式でそれぞれの創作理念、日本画・油絵・版画といった技法とその道具の紹介をする導入講義です。
 

2018年では大きく年3回の講義が開講されています。
 
また、別の記事にオムニバス講義として対になるムサビ通信のデザイン入門についての記事を記載しておりますので、興味のある方はご一読いただければと思います。
 

1.2 美術入門の各種仕様

ムサビ通信(美術入門)

 

講義 美術入門
場所 吉祥寺 校舎
日時 5/12(土曜) 900分〜1730分   5/13(日曜) 900分〜1230
テスト

「2018年 春季 試験問題」

この授業を受けて、考えたこと、感じたことをまとめなさい

サマリ

 大教室です。今回は200名。8:30には半分以上大教室の座席が埋まり、8:45には8割方3人掛け長椅子の両端は埋まってしまっています!

オムニバス形式の講義なので、どのコースなのか実は迷っている人にもおススメ。特にデザイン系コースや造詣文化学科に進学希望の人でも、デザイン入門と合わせて受講する事で多くの学びを得られると思います

 先生は絵画コースの方。それぞれ油絵、日本画、版画の担当の方が来られている(版画は通信で専任講師がいないそうで、通学の方から元田先生が来て講義)

 

【講師】

1.油絵:三浦明範先生

2.油絵:吉川民仁先生

3.版画:元田久治先生

4.日本画:重政啓治先生

 

2 美術入門の感想

美術入門の感想

美術入門の感想

美術入門を受講することが出来て、よかったと思う事は基本のきを知ることができたことです。一般大学を出て、就職をしている為、そもそもが日本画・油絵・版画の区分などはついていたものの、具体的に日本画と油絵は何が違うのか、テンペラとは何なのか。版画ではどのような技法の種類があるのかなど、知らないことだらけでした。
 
絵の見方についての入門的な話が多かったのもありがたいです。
 
西洋画などで歴史的な状況を描かれた年代などから類推して、ナポレオン遠征だとか30年戦争だとか、アントワープが隆盛を誇っていた時期だなとか。
 
そういった歴史的な事象の中で絵をとらえるという事はいままで多少なりとしてきてはいたのですが、それに加えて絵の技術的発展。
 
誰から、あるいはどんな絵が先にあってその絵の影響を受けたのかという視点を多少なりと培うことができたのはとても有意義でした。
 

2.1個別の先生の講義ノート

美術入門で講義をしてくださった先生方のお話はそれぞれの記事に纏めています。

 

 


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1.油絵:三浦明範先生の記事はこちら

2.油絵:吉川民仁先生の記事はこちら

3.版画:元田久治先生の記事はこちら


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4.日本画:重政啓治先生の記事はこちら

5.まとめの記事はこちら

 

3.まとめ

美術入門のまとめ

美術入門のまとめ

この講義は、ムサビ通信で美術関係の講義を受け持たれている様々な先生方の講義を受ける事が出来ます。

この時点ではすでに履修登録が済んでいるかもしれませんが、来年度以降どのような先生の講義を履修していくのか、非常に参考になるおすすめ講義です。

2018-Pe-26. 日本の美と西洋の美=美術入門×重政啓治先生

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美術入門についての記事の4記事目「日本画 重政啓治 先生」の記事です。

1/5  2/5  3/5  4/5  5/5

 

1. 先生について

美術入門の導入

美術入門の導入
本記事の導入として、重政啓治 先生についてどんなお人なのか、経歴面から見ていきたいと思います。
 
先生は1953年に山口県で生まれて、東京藝術大学大学院を修了しているとのことです
 
大学も藝大だったようで、藝大の「美術学部(いわゆる美校)」の卒業作品中の優秀作品に対して教授会が推薦し授与されるサロン・ド・プランタン賞を受賞しています。
 
ムサビ通信への着任は2001年4月のようです。
 

1.1 講義概要

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今回は日本画学科 絵画コース重政啓治先生の講座です。

 

今回の美術入門では油⇒油⇒版画ときて、ついに日本画の先生の登場となりました。第一印象の重政先生はかなり紳士です。

 

講義が終わった後も、講義室の扉を自ら開けてくださっていました。

 

 

重政啓治先生のお話

 

重政啓治先生の講義は下記の四本立てで行われました。

 

1 日本画の用具と日本画絵具
2 西洋の様と東洋の様
3 日本の画面と日本絵画
その他 中国絵画と日本の版画、現代の日本画、番外編 

 
やはり、「日本画」というところで、どうしてもある種の「西洋画-油絵」との違いがどこにあるのか、どのような方向性を目指すのかで異なってくるのかなという印象でした。
 

1.2 講義詳細 

美術入門の講義詳細

ここからは講義ノートでメモした先生の講義のメイントピックを取り上げていきます。

 

〇作家「重政啓治」の創作理念

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講義の中で、様々な日本画の紹介をされていて、ただその中で心持ちですが情感の籠った語り口で述べていたのが次のような言葉でした。
 
「日本の文化は、熟成させるうまさがある。唐絵や大和絵などの用語もあるが、その時代時代で他からの影響を受けるが、それをうまく受容し、昇華させて自分自身のオリジナルの文化に変化させる強さがある」
 
 

〇西洋の様と東洋の様

西洋の様と東洋の様

 
このパートでのお話は西と東のキャンパスサイズの違いから始まりました。日本と西洋のキャンパスサイズが長手といわれる長辺は同じ長さなのですが、短手と呼ばれる短辺はサイズが異なるようです。
 
これは寸への変換時に無理やり四捨五入なりした為のようですが、ここからも日本では長辺と短辺の比率。形にはこだわっていなかったという話が少し見えてきます。
 
さらに続けて話されていたのが日本は木造建築に対して、西洋は石造り建築であり、つまり数十年に一度壊れ、再生する日本の建築と同じものが下手すると数百年のこる西洋での感覚の差異。
 
建築から受ける美意識について触れられていました。
 
そして、美の様態のまとめとして、日本と西洋の差異について、「カタチを作り出す」のかそれとも「カタチを写し取る」のかそういった差異があるのではないかと述べられていました。
 

〇重政先生のおすすめ作品

工藤甲人 「雲」
モネ 「睡蓮」 オランジュリー美術館
ジャクソン・ポロック「五尋の深み」
ジャンティンゲリー「おとぎ話」 
キョウノドウキ2018展 三鷹市美術ギャラリー
 

2.1個別の先生の講義ノート

重政先生の講義だけでなく、ぜひ他の先生方の講義もご覧いただければ幸いです。

 

 


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1.油絵:三浦明範先生の記事はこちら

2.油絵:吉川民仁先生の記事はこちら

3.版画:元田久治先生の記事はこちら


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4.日本画:重政啓治先生の記事はこちら

5.まとめの記事はこちら

 

3.まとめ

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日本画コースに進まれる方であれば、とくに抽象的な絵画を学びたいと思われる方であれば、非常におすすめな講義です。

 

2018-Pe-25. 朴訥なお人柄で「寂」「風化」を語る元田久治先生の美術入門

版画 元田久治 先生

美術入門についての記事の3記事目「版画 元田久治 先生」の記事です。

1/5  2/5  3/5  4/5  5/5

 

 

1. 先生について

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本記事の導入として、元田久治先生についてどんなお人なのか、経歴面から見ていきたいと思います。
 
熊本県にて、1973年に生まれ藝大いわゆる東京藝術大学大学院美術研究科を卒業されています。卒業されている科は科目と同じ絵画(版画)専攻修了のようです。
 
先生は国内・海外ともに様々な展示会を行われているようで、08年「VOCA展上野の森美術館で行われている他、ホノルル美術館や新国立美術館熊本県立美術館などでも個展などを開かれています。
 

1.1 講義概要

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版画についてや若いころの苦労について、かなり克明に訥々と語っていただきました。

 

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今回は元田久治先生の講座です。元田先生は武蔵野美術大学通信課程の方ではなく、通学と呼ばれる一般にイメージする方で教鞭をとられている方です。

 

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元田久治先生の講義を受けて衝撃的だったのは、2009年7月からノイタミナ枠で放映された「東京マグニチュード8.0」のオープニングに関わられていたということです。

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このアニメーション作品は二人の姉弟が夏休み、お台場に遊びに来ていて、そこで震災が発生し、首都圏機能がマヒする中、自宅を目指すというあらすじです。

 

オープニング映像もそれに基づいて、東京の象徴的な場所が次々に現れるのですが、震災にあったということで軒並み壊れている、通常ではない状態となった国会議事堂や渋谷109などが立ち現れてきます。

 

その際に絵を描いたのが作家「元田久治」という次第のようです。

 

1.2 講義詳細 

美術入門の講義詳細

ここからは講義ノートでメモした先生の講義のメイントピックを取り上げていきます。

 

 
〇作家「元田久治」の創作理念
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そもそも、何故「マグニチュード8.0」という作品の冒頭を元田先生の絵が飾ることになったかというと、創作スタンスとしてずっと「風化」ということを追い求めていたからのようです。
 
 
現実にある国会議事堂を風化させて、半ば寂れた、ある種詫びた光景を描き出すというのが主な理念とのことです。
 

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起源は九州産業大学芸術学部絵画専攻を卒業されて、しばらくしてから長崎の軍艦島に渡られて、そこでかつては賑わっていたが、現在は寂れているという風景、光景になにかしら感じるものがあったようで、そこがひとつの出発点というように話されていました。
 
それから、軍艦島の風景をおもしろい形に合わせた作品を発表していき、いつしか風化させた作品を作ろうというところへたどり着いていくそうです。
 
それをもう少し深めるのがローマに行ったことで、ローマというのは栄華を誇ったローマ帝国のある種の夢の跡で過ごしているわけで、そこでも中世ですでに寂れていたローマを題材に、逆にローマの繁栄を描いた画家がいたようでその人物を学びにいったそうです。
 
そして、帰国後描かれたの作品が国会議事堂を風化させるという絵で、軍艦島からローマ、そして日本を象徴する建物で「風化」というテーマが花開いたように思いました。
 
風化というテーマで空港などを描いていたということで、3.11の震災にの際には個展が中止になるといった事態に遭遇しつつも、少しそこでまた方向性を変えた作風の作品を描くことで「風化」というテーマを掘り下げられているそうです。
 
 
〇版画の形式の種類
 
元田先生の創作理念の話以外にももちろん、版画の基本のき部分の説明もありました。
 
版画の形式の種類、技法のビデオなど受講生を飽きさせない工夫を盛り込みつつ、いろいろな技法や素材についての説明などです。
 
 凸版 木版・リノカット
 凹版 エッチング・エングレービング
 平版 リトグラフ・オフセット
 孔版 合羽版・シルクスクリーン
 
 

2.1個別の先生の講義ノート

元田先生の講義は非常に面白いですが、ぜひ他の先生方の講義もご覧いただければ幸いです。

 

 


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1.油絵:三浦明範先生の記事はこちら

2.油絵:吉川民仁先生の記事はこちら

3.版画:元田久治先生の記事はこちら


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4.日本画:重政啓治先生の記事はこちら

5.まとめの記事はこちら

 

3.まとめ

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朴訥なしゃべり方が非常に耳に残る芸術家らしい先生でした。版画の講義は別のコースでも受けてみたいものです。

 

2018-Pe-23. 吉川民仁先生は人間はちくわだよねと語る@美術入門

油絵 吉川民仁 先生

美術入門についての記事の2記事目「油絵 吉川民仁 先生」の記事です。

1/5  2/5  3/5  4/5  5/5

 

1. 先生について

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本記事の導入として、吉川民仁先生についてどんなお人なのか、経歴面から見ていきたいと思います。
 
 
1965年の千葉県出身で、武蔵野美術大学大学院を卒業されています。修了しているのは造形研究科の油絵コースです。
 
講義の中でも語っておられましたが、鎌倉画廊との関係が深く何度も個展を開かれています。
 

1.1 講義概要

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先生は非常に独特でした。人間てちくわだよねというような話など興味をそそるワードで生徒の注意をひいてきます。

 

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続いての講義は吉川先生でした。吉川先生は2018年4月にムサビ通信に赴任されてきた新任の先生とのことで、講義時間を最終的には10分ほどオーバーするもかなりの熱弁をふるっておられました。

 

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吉川先生は、前半はマトリックスを例にとってムサビ通信に入学した主に新入生向けの風変わりなエール。後半は抽象画的な作風もあり、自分の内面を見つめる哲学的な話をされていました。

 

ちなみに冒頭自己紹介はこんな形です。切り取り方が単純に悪いのかもしれませんが、声のトーンも相まって結構ファンキーな人だなと思った第一印象でした。

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絵を描くことはひとつの自己実現なのだと思います。自由の獲得には冒険が付き物だからです

 

そして、その流れのまま、飽きさせない90分にすると標榜して映画「マトリックス」の鑑賞に入りました。

 

1.2 講義詳細 

美術入門の講義詳細

ここからは講義ノートでメモした先生の講義のメイントピックを取り上げていきます。

 

〇吉川先生のマトリックス

観賞はいくつかのチャプタを事前に吉川先生が抜き出していて、それを眺める形です。

ネオが赤と青のカプセルを選ぶシーンや預言者と会うシーンなどがチョイスされていました。

 

 
マトリックスの表現技法などを取り入れた作品を作られているのかななどと視聴中はみていましたが、そのあとのお話からこの先生なりのエールなのだなと思い、なかなか面白い比較というか比喩をされる方だなと改めて思いました。
 

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映画:マトリックス
  マトリックスの中の世界、日常
  ┗薬の選択 仮想現実と現実
   ⇒仮想現実の中で能力を発揮するためのトレーニン
  
現実世界
  武蔵野美術大学通信課程を選択する前、それまでの日常
  ┗武蔵野美術大学通信教育課程の選択
   ⇒実技制作、デザイン創出、美術探求、情報伝達形成で能力を発揮する為のトレーニン
 
エールの後は、作品の誕生、成り立ちの背景にすこし触れて、次のテーマへ移っていきました。
 
〇吉川先生の作品の誕生、成り立ち
岡田隆彦著「美術作品の成り立ち」において、「作品は氷山の一角」というパートがあり、自分の作品が様々な要素が絡み合って出来ているということを提起し、それに基づいて自分自身の過去を振り返るジャーニーへ旅立つという構成でした。
 

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上記の水面下の部分で、3名の名前を挙げてそれぞれ影響を受けた本ですとか、展示などについて言及されていました。
 

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三木成夫『内臓のはたらきと子どものこころ』築地書館
松樹路人展 終わりなき旅
九鬼周造「偶然性の問題」
 
吉川先生の作品は主に鎌倉画廊などを中心に個展を開かれおられるそうなので、興味のある方はぜひそちらにもどうぞ。
 
かなりボリューミーな講義だったので、吉川先生もいったん区切りとします。
後日また、他の先生方については記載させていただきます。
 
 

2.1個別の先生の講義ノート

先生の講義は非常に面白いですが、ぜひ他の先生方の講義もご覧いただければ幸いです。


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1.油絵:三浦明範先生の記事はこちら

2.油絵:吉川民仁先生の記事はこちら

3.版画:元田久治先生の記事はこちら


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4.日本画:重政啓治先生の記事はこちら

5.まとめの記事はこちら

 

3.まとめ

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非常にファンキーで愉快な講義です。是非聞いてみてください!

 

2018-Pe-22. 三浦明範先生の【美術入門】は油画・日本画・版画の違いから、北欧ルネサンスまでウィットな講義

油絵 三浦明範 先生

美術入門についての記事の1記事目「油絵 三浦明範 先生」の記事です。

1/5  2/5  3/5  4/5  5/5

 

1. 先生について

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本記事の導入として、三浦明範先生についてどんなお人なのか、経歴面から見ていきたいと思います。

 

先生は1953年秋田県生まれで東京学芸大学を卒業されています。

 

また、ブリュッセルやゲントなどで個展を開かれている他、北京ビエンナーレにも出展されておられます。

1.1 講義概要

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私見ですが髪型が特徴的で、古き良き昭和を感じる髪型です。

そして、話も非常にわかりやすくおもしろいです。

 

 

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三浦先生の講義はまず絵画のジャンルについての解説でした。

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①油絵
幕末の頃、司馬江漢や平賀厳愛らが油絵を描いたが、明治以降フォンタネージらによって本格的に西洋美術教育が開始され、西洋画または洋画と称したが、今日的には油彩画、油画とも表す。

 

Note

この講義中で繰り返しでてくるヤン・ファン・エイクの名前が初登場。

「アルノルフィーニ夫妻像」でテンペラから油彩絵具へ本格的に切り替えて利用法を完成させた人と言われているそうです。

 

日本画
フェノロサが1882年に公園で「Japanese Painting」と評した言葉の翻訳であり、岡倉天心東京美術学校(後の東京藝術大学)に「日本画科」を設けた。

 

Note

 2人目の吉川先生の講義ではどろどろした事情の岡倉天心が出てきますが、ここではさらっとした説明でした。

 

③版画
日本の場合、浮世絵版画は絵師、堀氏、刷師の分業。山本鼎は石井伯伝、森田恒友らと1907年に「創作版画」を提唱していて、作家が自画自刻、自刷のすべての工程を1人で行うというもの。

 

Note
ヨーロッパでは近年まで、印刷の一部であったので、版画は結構日本がリードしている部分もあるそう。

 

④まとめ

「Hey, siri 絵が上手くなる方法」→「いっぱい描いてください」

 
 つづいて、「世にも奇妙な絵の話」という題名で三浦先生ワールドが展開されました。
 
 

1.2 講義詳細 

美術入門の講義詳細

ここからは講義ノートでメモした先生の講義のメイントピックを取り上げていきます。

 

世にも奇妙な絵の話 No.1 「日本の絵画に陰影がないのはなぜ?」

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〇前提1 日本の緯度の話
この話の中で、まずはじめにスライドに登場したのは世界地図でした。Google Earth 上で日本の地図が示されました。
 
それをずいっと、スライド上でヨーロッパに持っていきますとなかなか興味深い事実がわかります。同緯度のヨーロッパと比較すると、日本は実はアフリカに近しいということです。
 
北海道でさえ、北イタリアの辺りでドイツや北欧は日本よりもかなり高緯度ということになります。
 
その事実を受講生に認識させたあと、三浦先生は「イタリアルネサンス」「北方ルネサンス」で著名な作品を表示して見比べさせます。

 

〇前提2 北方ルネサンスとイタリアルネサンス
 
【イタリアルネサンスフランジェリコの受胎告知 
⇒色鮮やかだが陰影はあまりなく、どちらかというとのっぺりしている
 
【北方ルネサンス】ヤンファンエイクの受胎告知 
⇒色の多彩さはないが陰影はあり、かなり写実的
 
 
これらを比較することによって、北イタリアよりもさらに低緯度に位置する日本の絵画表現(特に浮世絵)が、陰影がなく写実的な描写よりも、色彩鮮やかな描写傾向にあることのひとつの根拠としていました。
 
つづいて、前提となる話がつづきますが絵画の世界ではなく視神経の話にシフトします。
 
〇前提3 錐体細胞
ここからいきなり視神経の話になります。眼球の構造図、生物の教科書にのっているような図が示されてその中でも下記の二つの用語についての解説が入りました。
 
桿体細胞ー暗いところで「明暗」を感じる細胞
錐体細胞ー明るいところで「色彩」を感じる細胞
 
どこか、似ている、あるいは類似していることがあると思いませんか?
 
北方ルネサンスとイタリアルネサンスの見方とたしかに似通った部分があるという三浦先生の独特の論理展開でした。
 
さらに前提1-3を受けて、下記のような論理展開をされています。
 
〇まとめ 日本の絵画に陰影がない理由
ここまでの話を受けて、なるほどなと確かに思いつつも体系化できていない部分があったので、図案化してみました。
 

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 「桿体細胞」的見方・・・色はよくわからないが、各対象は存在する→色彩は本質ではない→明暗が大事
 「錐体細胞」的見方・・・陰影は時間と共に変化するが、各対象自体は変化しない→陰影は本質的ではない→色彩が大事
 
 〇西洋の表現
  色彩は装飾的・・・明暗こそ本質 「存在」を本質として捉えた表現
 
 〇日本の表現
  陰影は移ろう・・・色彩こそ本質 「固有色」を本質として捉えた表現
 
かなりボリューミーな講義だったので、三浦先生のお話はいったん区切りとします。
後日また、他の先生方については記載させていただきます。
 
 

2.1個別の先生の講義ノート

三浦先生の講義は流石に大御所、ベテランという風格で非常に為になるかつ飽きさせない面白さなのですが、ぜひ他の先生方の講義もご覧いただければ幸いです。

 

 


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1.油絵:三浦明範先生の記事はこちら

2.油絵:吉川民仁先生の記事はこちら

3.版画:元田久治先生の記事はこちら


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4.日本画:重政啓治先生の記事はこちら

5.まとめの記事はこちら

 

3.まとめ

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三浦先生は絵画コースのコース長だったりもしており、非常に明朗でわかりやすく興味をひくお話をしてくださいました。

 

美術の導入として、非常に有益です。

 

2018-Pe-20.【デザイン入門】×武蔵野美術大学×通信課程 for 2018-Spring

2018年春季に受講した武蔵野美術大学通信の「デザイン入門」(スクーリング2単位)について、講義内容の紹介と学んだことについて確認したい方向け、あるいはムサビ通信に興味をあるけれども具体的にはどんなことをしているんだろうという方、デザインってなんだろうちょっと興味あるなという方向けに記載しています。

 

美術入門は武蔵野美術大学通信課程のスペースデザインや情報デザインコースの先生方がオムニバス形式でそれぞれの創作理念、関わったPJや著名な作品の紹介をする導入講義です。

オムニバス講義として対になる武蔵通の美術入門についての記事を記載しておりますので、興味のある方はご一読いただければと思います。
 

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講義 デザイン入門
場所 吉祥寺 校舎
日時 5/6(土曜) 900分〜17305/7(日曜) 900分〜1230
テスト 「2018年 春季 試験問題」次のふたつの主題について記しなさい①講義で興味を持った事柄とそれについて思う事②私とデザイン
サマリ

初参加スクーリングでしたが、8:30には半分以上大教室の座席が埋まり、8:45には8割方3人掛け長椅子の両端は埋まってしまっています!

オムニバス形式の講義なので、どのコースなのか実は迷っている人にもおススメ

今回は「デザイン入門」だったのでデザイナー系の人(ムサビでいう視聴覚伝達デザイン学科や基礎デザイン学科出身の先生が多い)


1. どんな講義なのか?

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講義を通じて、都合5名の方がそれぞれの先生にとっての「デザインとは何か?」について自らの手掛けたPJ案件の事例紹介や類似事例などの紹介をしながら語ってくれるオムニバス形式の講義です。

 

2. 講義1「デザインの基礎体力」 白尾隆太郎 デザイン情報学科(コミュニティデザインコース)
 
 

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デザインには共通感覚があるという話をされていました。
 
白尾先生のみ、プリントがあり、共通感覚を確認する小テストのようなものを実施しました 。
 
結果は挙手で確認するのですが、確かに多くの方が同じ答えで手を挙げていました。(「ラール」や「ピチキチ」といった擬音語と対応する図形を選ぶ問題)
 
3.   講義2「プロダクトデザインを紐解く」 田中克明 工芸工業デザイン学科(生活環境デザインコース)
 
 

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デザインとは何か?という問いにはデザインは生活に潤いを与え、生活を豊かにすると答えられていました。
 
日常の生活の中、道具や機器、世の中の仕組みや制度の問題点を探す【課題発掘】を経て【課題解決案を探す】⇒【具体化する(規格を立てる・形にする)】がデザインの源泉だと。
 

結局、生活していく中で問題は常に新しく出てきます。


社会の発展と共に、新しい問題が生じてくる。かつては、暑さを払うことができれば問題解決であったが、現代社会では安全面・音の問題といった新たな問題に対しても解決策を用意する必要があります。

 

安全面や音を解決した後、また新しく出てきた扇風機自体の掃除を楽にしたいといった新しい問題点から、ダイソンの扇風機が生まれるという話をされていました。

 
4.   講義3「デザインとテクノロジー」 清水恒平 デザイン情報学科(デザインシステムコース)

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グラフィックデザイン、スペースデザイン、プロダクトデザインなど様々にあるが、結局はミクロ/マクロな視点でデザインを考えることが大事という理念を話されていました。
 
デザイン×テクノロジであたらしい素材×あたらしいメディア⇒デザインの可能性が広がりますと。
 
データビジュアライゼーションやモノづくりのデジタル化などによって、デザインの幅も世界も広がっているので、そのデザインがあることで何が変わるか。
 
5.   講義4「空間デザインの今」 牧野良三 工芸工業デザイン学科(スペースデザインコース)
 

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空間デザインとは、変化を前提にしたデザインの領域であり、コトが起きる時間と空間を作り出すことだという答えをだされていました。
 
すなわち、下記のイメージだそうです。
 
 住空間 :はぐくむところ、歴史を作るところ
 都市空間:交わるところ、広まるところ
 演出空間:立ち止まって考えるところ
  ⇒演出性・意味性の濃淡・軽重で変化
 
6.   講義5「デザインを生かしたコミュニケーション」 上原幸子  デザイン情報学科(コミュニティデザインコース)
 

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担当されている中で、似通ったイメージのある二つのデザインについて解説されていました。
ソーシャルデザイン :社会的課題を解決する取り組み
コミュニティデザイン:人と人がつながる仕組みづくり
 
7. まとめ講義 金子伸二 芸術文化学科

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金子信二先生がまとめ講義をされています。
 
【ラテン】deignnare:目立たせる から、フランス語や英語、そして日本語のデザインの言葉の定義を枕に講義がはじまりました。
 
そこから疑問・問いかけがなされます。
「普段いいものだなと思っている家具がほぼ北欧風なのはなぜ?」「どうして芸術家と聞くと髭をはやして、後ろ髪をポニーテールにしてちょい悪風な人を連想するの?」
 
そこから、アーサー・ダント「アート・ワールド」やジョン・ウォーカー 「デザインとは何か」を引用されて議論を展開します。
 
「あるものを芸術とする、特定の時代・民族・社会・文化に共有されている)芸術の理論の雰囲気、芸術の歴史についての知識」というのがアートワールドであり、アートとして定義されるものが時代によって変遷する旨を話したあと、「ある社会がその時にアートだと定義しているものだけに分析を限定すれば、あまりに多くの興味深い物事を取り残すことになる」という事で一つ講義を締めくくっていました。

結びに。レポート課題への回答

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「私とデザイン」という主題で下記のような文章が自分なりのデザインかなと思っていますので、記載しておきます。
 
デザインは「事物の媒介」であると考えます。日常の出来事、社会の出来事、身の回りに起きた問題、社会問題。
 
ミクロ/マクロな視点で、矯めつ眇めつし通常つながっていない要素同士をつなげたり、要素同士のつながり方をいつもとは異なる形で再接続させる。
 
それは例えば、福祉用具と一般製品をつなぐことでマクロな面ではバリアフリー社会やユニバーサルアクセス社会を実現する事に寄与したり、高齢化の進む社会で移動や行動の選択肢の自由を保持させておくことに寄与したりする一方で、ミクロな視点ではそもそも福祉用品を容易に買うことが出来ない(サイズ・色・形の問題)もどかしさを一般製品と同じラインにのせることで多様な色・形といったバリエーションが出来て使う人のストレスという問題をなくすという例もあるでしょうし、前述した社会課題とは別に純粋なアートの側面でも、レコードプレイヤーのレコード部分を期の丸太、年輪に変えて年輪にレコードプレイヤーの針があたり、それを変換して音楽のような音を奏でるインスタレーション作品などが清水先生の講義で紹介されていました。
 
それは既成概念である「レコード×針」でレコードに刻まれた音を奏でるという発想を転換して、レコード部分を木に変えることで、美の質を変える興味深い作品だと思います。
  
まとめとして、よく「0⇒1」をうみだすことが重要という話がありますが、デザインはこの0-1の際のエンジンに等しいと考えます。形のあるもの、か隊のないものそれらをデザインを媒介につなげ、組み合わせることでヒトは美の最高到達点を高めてきたのだと思います。