@マークぐるりん | ムサビ通信とアート、経営コンサルタント

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2018-Pe-20.【デザイン入門】×武蔵野美術大学×通信課程 for 2018-Spring

2018年春季に受講した武蔵野美術大学通信の「デザイン入門」(スクーリング2単位)について、講義内容の紹介と学んだことについて確認したい方向け、あるいはムサビ通信に興味をあるけれども具体的にはどんなことをしているんだろうという方、デザインってなんだろうちょっと興味あるなという方向けに記載しています。

 

美術入門は武蔵野美術大学通信課程のスペースデザインや情報デザインコースの先生方がオムニバス形式でそれぞれの創作理念、関わったPJや著名な作品の紹介をする導入講義です。

オムニバス講義として対になる武蔵通の美術入門についての記事を記載しておりますので、興味のある方はご一読いただければと思います。
 

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講義 デザイン入門
場所 吉祥寺 校舎
日時 5/6(土曜) 900分〜17305/7(日曜) 900分〜1230
テスト 「2018年 春季 試験問題」次のふたつの主題について記しなさい①講義で興味を持った事柄とそれについて思う事②私とデザイン
サマリ

初参加スクーリングでしたが、8:30には半分以上大教室の座席が埋まり、8:45には8割方3人掛け長椅子の両端は埋まってしまっています!

オムニバス形式の講義なので、どのコースなのか実は迷っている人にもおススメ

今回は「デザイン入門」だったのでデザイナー系の人(ムサビでいう視聴覚伝達デザイン学科や基礎デザイン学科出身の先生が多い)


1. どんな講義なのか?

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講義を通じて、都合5名の方がそれぞれの先生にとっての「デザインとは何か?」について自らの手掛けたPJ案件の事例紹介や類似事例などの紹介をしながら語ってくれるオムニバス形式の講義です。

 

2. 講義1「デザインの基礎体力」 白尾隆太郎 デザイン情報学科(コミュニティデザインコース)
 
 

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デザインには共通感覚があるという話をされていました。
 
白尾先生のみ、プリントがあり、共通感覚を確認する小テストのようなものを実施しました 。
 
結果は挙手で確認するのですが、確かに多くの方が同じ答えで手を挙げていました。(「ラール」や「ピチキチ」といった擬音語と対応する図形を選ぶ問題)
 
3.   講義2「プロダクトデザインを紐解く」 田中克明 工芸工業デザイン学科(生活環境デザインコース)
 
 

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デザインとは何か?という問いにはデザインは生活に潤いを与え、生活を豊かにすると答えられていました。
 
日常の生活の中、道具や機器、世の中の仕組みや制度の問題点を探す【課題発掘】を経て【課題解決案を探す】⇒【具体化する(規格を立てる・形にする)】がデザインの源泉だと。
 

結局、生活していく中で問題は常に新しく出てきます。


社会の発展と共に、新しい問題が生じてくる。かつては、暑さを払うことができれば問題解決であったが、現代社会では安全面・音の問題といった新たな問題に対しても解決策を用意する必要があります。

 

安全面や音を解決した後、また新しく出てきた扇風機自体の掃除を楽にしたいといった新しい問題点から、ダイソンの扇風機が生まれるという話をされていました。

 
4.   講義3「デザインとテクノロジー」 清水恒平 デザイン情報学科(デザインシステムコース)

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グラフィックデザイン、スペースデザイン、プロダクトデザインなど様々にあるが、結局はミクロ/マクロな視点でデザインを考えることが大事という理念を話されていました。
 
デザイン×テクノロジであたらしい素材×あたらしいメディア⇒デザインの可能性が広がりますと。
 
データビジュアライゼーションやモノづくりのデジタル化などによって、デザインの幅も世界も広がっているので、そのデザインがあることで何が変わるか。
 
5.   講義4「空間デザインの今」 牧野良三 工芸工業デザイン学科(スペースデザインコース)
 

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空間デザインとは、変化を前提にしたデザインの領域であり、コトが起きる時間と空間を作り出すことだという答えをだされていました。
 
すなわち、下記のイメージだそうです。
 
 住空間 :はぐくむところ、歴史を作るところ
 都市空間:交わるところ、広まるところ
 演出空間:立ち止まって考えるところ
  ⇒演出性・意味性の濃淡・軽重で変化
 
6.   講義5「デザインを生かしたコミュニケーション」 上原幸子  デザイン情報学科(コミュニティデザインコース)
 

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担当されている中で、似通ったイメージのある二つのデザインについて解説されていました。
ソーシャルデザイン :社会的課題を解決する取り組み
コミュニティデザイン:人と人がつながる仕組みづくり
 
7. まとめ講義 金子伸二 芸術文化学科

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金子信二先生がまとめ講義をされています。
 
【ラテン】deignnare:目立たせる から、フランス語や英語、そして日本語のデザインの言葉の定義を枕に講義がはじまりました。
 
そこから疑問・問いかけがなされます。
「普段いいものだなと思っている家具がほぼ北欧風なのはなぜ?」「どうして芸術家と聞くと髭をはやして、後ろ髪をポニーテールにしてちょい悪風な人を連想するの?」
 
そこから、アーサー・ダント「アート・ワールド」やジョン・ウォーカー 「デザインとは何か」を引用されて議論を展開します。
 
「あるものを芸術とする、特定の時代・民族・社会・文化に共有されている)芸術の理論の雰囲気、芸術の歴史についての知識」というのがアートワールドであり、アートとして定義されるものが時代によって変遷する旨を話したあと、「ある社会がその時にアートだと定義しているものだけに分析を限定すれば、あまりに多くの興味深い物事を取り残すことになる」という事で一つ講義を締めくくっていました。

結びに。レポート課題への回答

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「私とデザイン」という主題で下記のような文章が自分なりのデザインかなと思っていますので、記載しておきます。
 
デザインは「事物の媒介」であると考えます。日常の出来事、社会の出来事、身の回りに起きた問題、社会問題。
 
ミクロ/マクロな視点で、矯めつ眇めつし通常つながっていない要素同士をつなげたり、要素同士のつながり方をいつもとは異なる形で再接続させる。
 
それは例えば、福祉用具と一般製品をつなぐことでマクロな面ではバリアフリー社会やユニバーサルアクセス社会を実現する事に寄与したり、高齢化の進む社会で移動や行動の選択肢の自由を保持させておくことに寄与したりする一方で、ミクロな視点ではそもそも福祉用品を容易に買うことが出来ない(サイズ・色・形の問題)もどかしさを一般製品と同じラインにのせることで多様な色・形といったバリエーションが出来て使う人のストレスという問題をなくすという例もあるでしょうし、前述した社会課題とは別に純粋なアートの側面でも、レコードプレイヤーのレコード部分を期の丸太、年輪に変えて年輪にレコードプレイヤーの針があたり、それを変換して音楽のような音を奏でるインスタレーション作品などが清水先生の講義で紹介されていました。
 
それは既成概念である「レコード×針」でレコードに刻まれた音を奏でるという発想を転換して、レコード部分を木に変えることで、美の質を変える興味深い作品だと思います。
  
まとめとして、よく「0⇒1」をうみだすことが重要という話がありますが、デザインはこの0-1の際のエンジンに等しいと考えます。形のあるもの、か隊のないものそれらをデザインを媒介につなげ、組み合わせることでヒトは美の最高到達点を高めてきたのだと思います。